僕は、就職で上京するまで生まれ故郷にいついていました。このため、僕の手塚趣味は、主に漫画を読むこと。ファンの集いなんかで、先生のご尊顔を拝見するなど、思いもよらないことでした。まあ、グッズなんかもぼちぼち集めてましたが、あまり、手塚グッズ自体なかったですね。アトム、レオなんかは、連載はもちろんのこと、放送もとっくに終了していて、虫プロもないから、手塚先生の作品がアニメ化されることはなくなってたんです。そのころは、テレビ放映がないと、おもちゃをはじめとするグッズも発売されないですから。

 自称大物手塚ファンの僕が、いよいよ、こっちに出てきたのは就職のため。さすがに、お仕事もしないといけなかったので、思うように、手塚趣味ができませんでした。手塚先生の仕事の主軸が青年誌になりつつある頃です。追っかけするのに若干気恥ずかしい年代で、少しさびしい気持ちで、心の熱烈手塚ファンをしているといった風でした。なんか、前のように熱くなれない感じだったんです。

 そんな頃、たまたま、代々木公園を散歩していたら、盛んになりつつあったフリーマーケットが開催されていたので、何の気なしにのぞいたら、昔のおもちゃがあったんです。怪獣のミニサイズのソフビ人形でした。昔、駄菓子屋さんで買った記憶があるものでした。出店している人とお話したら、いくつか専門店ができてるらしいとのことでした。

 ミニカーやオキュパイドジャパン時代のグッズは、すでに、マニアがたくさんいて、古道具屋さんであつかっていましたが、昔の子供のおもちゃは、まだまだ、商売の対象とは見られてなかったんです。それが、ようやく、昭和30年代を懐かしいと思う雰囲気が出てきて、ぼちぼち、マニアも増え、専門店が成り立つようになってきたんですね。

 さっそく、教えてもらった青山と下北沢にでかけました。そしたら、あった!あった!自分が子供の頃のおもちゃ、駄玩具、文房具などがたくさん並んでました。まさに、タイムパラドックスにおそわれたような感じで、不思議な気分になりました。

 雑誌なんかの売ります、買いますコーナーぐらいでしか手に入らないと思っていた、昔のおもちゃが、まだ、お店で買えるという事実は、大変衝撃的でした。中には、デッドストックで新品状態で買える物もありました。(もっとも、値段はだいぶ違ったけど。)そして、そんなに数は多くないけど、手塚キャラ物もあったんです。アトム、レオ、ビッグXなどなど。おもちゃの職人さんの解釈で製作されたんで、イメージが作品とだいぶ違ってる物も多いけど、作品を読んでいた子供の頃、その時代の雰囲気が感じられて久しぶりに熱くなりました。

僕の手塚趣味にグッズ集めが加わったのは、それからでした。


(2001.1.28作成)