神奈川県中央児童相談所(藤沢市)がまとめた「児童相談所における性的虐待調査報告書」で、性的虐待の多くが父親によって行われ、子供の告白がなければ発見が難しい実態が浮かび上がった。同相談所は発見の鍵となる学校などで研修を行い、早期発見・介入につなげたい考えだ。

 報告書は、平成18~20年度の3年間に県児童相談所5カ所で受理した18歳未満の性的虐待相談108件の実態調査をまとめた。

 それによると、被害を受けた子供のほとんどが女子で93%を占めた。虐待者では実父の34%が最多。次いで「実父以外の父(継父、養父)」31%、「母親の内縁の夫」10%の順で、主に父親が行っていた。

 虐待者の63%が定職に就いることも判明。保護の怠慢・拒否や身体的虐待など他の虐待では無職・不安定が多いのに比べ、社会的な信用を得ている事例が多いのも、発見の遅れにつながっている一因とみられる。

 虐待の内容は「身体接触を伴う性行為」の88件が飛び抜けて多かった。虐待を受け始めた年齢は8~13歳に集中し、多くが小学生のうちに始まっていた。中央児童相談所は「親が言うことを聞かせやすい年齢に始まる。あざができたりせず、母親不在時に密室で行われ、発覚しにくい」と指摘する。

 こうした虐待は「子供の告白」で発覚した事例が68%、「家族が目撃」11%。「家族などが子供の行動症状(年齢不相応の性的言動など)から疑う」9%など家族が気付く事例は少なかった。告白の相手は学校教職員28%がトップだった。

 同相談所は「相手が親であっても嫌なことは嫌と言っていいこと、被害に遭っても自身の価値は変わらないことを子供たちに知ってほしい」と呼びかけている。

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