結局、いつも私が使ってるTSUTAYAに向かった。
二人で棚のCDやブルーレイを見ながら、一緒に歩く。彼の携帯がずっと振動している。
携帯出たら?フェイスブックやから。
コミック本を数冊借りて、車に帰る。
ここがそう?もっと大きいとこかと思った。
運転席に座った彼が、フロントガラス越しに建物を見てる。
こんなに近くに彼がいる。手を伸ばせば届く距離。
本当にうれしい。
喋っている横顔見てると可愛くて仕方ない。相づち打つだけで、ずっと話してるこの人、すごいなー、それでやっぱり可愛いすぎる。
手を、つなぎたい。
右手を彼の前に出す。
何? お金?
なんでやねん! 手、つなぐ。
少し間があったあと、ちょっと笑って彼も右手を出してきた。
なんで右手なん?これじゃ握手やん。声には出さずに心で突っ込む。
昔、若かったとき、私は断然腕組み派だった。元夫は手を繋ぎたがったが、私は腕にしがみついていた。学生の頃は、女友だちとも腕を組んで歩いた。この密着度が安心した。手を繋ぐなんて、全然面白くない。子供みたいやん、って思ってた。
手に触っているだけで、安心感があって、でもドキドキもする。ドキドキが広がってキュンキュンもする。じわーって嬉しくなる。
彼の手から、彼の考えていることが透けて見えそう。
私は、彼が大好きだ。
途中、左手に変えた。だから、なんであなたも左手?嬉しい、なにしても。すぐ帰りつもりが、結局手を繋いだままずっといた。会話なんてぼんやりとしか覚えてない。
車の中で、おじさんとおばさん。人も行き交う、それも駐車場の真ん中で。
もう、遅くなるね。帰ろ。
左手が空いてないので、右手でサイドブレーキを下ろそうとする。しっかり上げすぎて全然下ろせない。いちいち可愛い…。言ってくれたらいいのに。そのまましばらく繋いでいた。
家の近くの広い通り、後ろから車が走って来るのを過ごしてから車を路肩にとめた。