今日は姉ちゃんがお腹の赤ちゃんを産みました。もう8ヶ月にもなると大きくなるので普通に産まなくちゃいけないんですって。ただ産まれてくる子はもう亡くなっていることだけが普通とは違う。でも苦しみは同じ。



そう思うと辛くて辛くて。



今日は夜の7時半ごろに病院に行きました。もう姉ちゃんは分娩室でした。着いた時にはお母さんが病室の外で泣いていました。姉ちゃんがいる前では泣けないからって。


ちょうど2時間くらいが過ぎたころ、無事終わりました。関係者も赤ちゃんを見ることができました。俺も見ました。


これが小さいんだ。でも綺麗な顔しててね。まるで寝てるみたいに綺麗で穏やかな顔。今すぐにも泣き出しそうなくらい、もう普通の子と変わりがなかった。まぎれもなく姉ちゃんの長男です。


姉ちゃんがね、赤ちゃんが産まれたら着せたいって服を作ってたんだ。裁縫なんてろくに出来ないのに。かわいいよだれかけを作ってた。きっと何回も針を手にさしたりしながら作ったんだと思う。


赤ちゃんは旦那さんの家の意向でお葬式をやることになりました。棺のなかに入れるときに、看護婦さんがその服を着せてあげてました。そうしていると姉ちゃんも赤ちゃんを見に来ました。


せっかく苦しんで頑張って産んだのに、すぐに棺に赤ちゃんを入れられてしまう。しかもそれを目の前で見る。それがどれほど苦しいことで悲しいことで辛いことか。俺なんかには想像もできません。ただ、あの姉ちゃんが顔色最悪で、クマだらけで、涙を流してるっていうことからものすごい辛さなんだと思います。


俺は泣かないつもりでした。本人たちが一番辛いんだから。でも、姉ちゃんが赤ちゃんにお礼を言って、笑いかけてるところを見ると涙が溢れました。手紙まで書いてありました。


姉ちゃんは泣いてたけど、笑顔でした。


本当に立派な母親でした。