繰り返しになりますが、①憲法は権力を制限し、②国民の人権を保障するための法です。

 

①については前述しました。

 

今回は②の人権がテーマです。

 

国家による人権侵害が禁止された現代にあって、人権という言葉を聞いたことがないという方はほとんどいないように思います。

 

しかし、その性質は何かと聞かれて即答できる人は司法試験受験生と憲法学者くらいです。

 

まず、人権には3つの性質があると言われています。

固有性、不可侵性、普遍性です。

 

固有性とは、人間であれば当然に人権を持っているということです。

また、不可侵性は権力によって侵されないということです。

最後に普遍性とは、人種、性別、身分などの区別に関係なく人権を持っているということです。

 

たとえ国会が法律を作って侵害しようとしても、それは原則として禁止されます。

 

呉先生は人権は心臓のようなものと書いていますが、適切な例とは思えません。

心臓に病気のある人がたくさんがいる一方で、人権が不完全な人がそうたくさんいるとは思えないからです(現実には天皇及び皇族など人権が不完全な人はいます)。

 

また、日本国憲法は11条、97条で人権の固有性、不可侵性、普遍性を定めていると考えらており、学説だけが認めているというわけではありません。

 

では、そもそも憲法が人権を保障しようとする根拠はなんなのでしょうか。

 

それは呉先生も伊藤塾長も大好きな笑笑 13条の個人の尊厳であると一般に考えられています。

 

13条は

 

全て国民は個人として尊重される

 

とし、個人の尊厳=個人主義の思想を謳っています。

 

個人主義と言うとこれまたネトウヨさんには許し難き危険思想になるわけですが笑笑 個人主義とは、自分勝手な利己主義とは違います。

 

個人が大事という個人主義は、ざっくばらんに言えば、私もあなたも彼も彼女もみな同じく大事ということです。

 

私は自分が1番大事、だから、他の人が同じように自分が1番大事と考えることを認めるという考えが個人主義であって、自分だけが良ければいい、自分さえ良ければ他の人に迷惑をかけてもいいという利己主義とは全く違います。

 

ちなみに、個人主義の反対は全体主義です。

全体主義に関してはあまりいい例ではありませんが、北朝鮮のように独裁者のために国全体が一つにまとまっているような国を思い出してくださればいいと思います。

あとはヒトラーが率いた第二次世界大戦中のドイツでも良いです。

 

ところで、憲法が人権を保障しているとは言え、絶対的に無制限に保障しているわけではないことは条文上も学説上も明らかです。

 

例えば表現の自由は21条で保障されています。

 

しかし、どんな表現でも保障されるとなれば、名誉毀損の権利も、プライバシーの侵害の権利も保障されるということになりかねません。

 

そこで、憲法は12条と13条で、公共の福祉に反しない限り人権は保障されるとしています。

 

公共の福祉とはみんなの幸せと言い換えてもいいかと思います。

 

ただ、内心の自由のように絶対的に無制限に保障される権利もあるので、なんでも公共の福祉によって制限できるわけではありません。

 

その点は注意してください。

 

区切りがいいのでここまで。