日本人挑戦者〜ドイツにてサッカー指導者として闘う山下喬のブログ〜

日本人挑戦者〜ドイツにてサッカー指導者として闘う山下喬のブログ〜

ドイツにてFCバサラマインツの会長を務め、選手の成長の為に自分がやれる事は何か、と日々自問自答する山下喬のブログ。
チーム、指導法、人間教育など幅広く書いていけたらと思います。
自身の過去についても少し触れながら。。。

FCバサラマインツではいつも、成長したいという強い気持ちを持った選手を募集しています!
また指導者の勉強がしたい、広報スタッフとして活動してみたいといというインターン希望の方も常時受け付けています!いつでもご連絡下さい!
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現在ヨーロッパでテーマになってきている育成年代での問題

最近受講していたドイツのエリートユース・ライセンスでも、スイスのFCチューリッヒの育成で働く知り合いの指導者からも、そして今回ドイツの多くのブンデスリーガ下部組織でアスレチックトレーナーとして活躍した友達からも、この育成年代で起こる成長が早い選手と遅い選手の間に出来る体の大きさやフィジカルの差から生まれるパフォーマンスの違いがテーマにしての話を聞いた。

 

特にジュニアユースの年代は成長期により顕著に体格差が出てしまう年代だが、ジュニアやジュニアユースの4月生まれと早生まれの3月生まれでは約1年の差があり、この1年の差がサッカーのパフォーマンスにも大きな影響を与えている。体格差ももちろんのこと、頭の部分での成熟度も1年の違いがあると大きい。

 

日本では4月〜9月生まれ、ドイツでは1月〜6月生まれの選手がプロ選手、そして日本代表選手として活躍している傾向があるというデータがあるが、このデータが示すのは、この小さな差とも思える数ヶ月早く生まれた事で、訪れる成熟が育成年代で生み出すパフォーマンスの違いで若い年代から評価されている可能性が高いという事だ。

早熟な選手と晩熟な選手のサイクル

早熟:早い成長→高いパフォーマンス→選出(セレクション)される→質の高い指導を受ける/ポジティブなフィードバック→高いパフォーマンス
 
晩熟:遅い成長→低いパフォーマンス→選出(セレクション)されない→専門的な指導を受けれない→低いパフォーマンス
 
早熟な選手は目に見えやすい結果やパフォーマンスを出しやすく、その為力のあるチームに入団出来て、そこで良い指導を受けれ、自分の自信をさらに深めれる事で、パフォーマンスもさらに良くなっていく。
晩熟な選手はその逆で目に見えるパフォーマンスが低い事で、強いチームに入団出来ず、最悪の場合はそこで自信を無くし、サッカーからドロップアウトしてしまう事もあるという。
 
その年代で早く生まれる選手だけではなく、成長期を早く迎えた早熟な選手が評価される事が多いとすればどれだけの才能が取りこぼされているのだろうか?

「Bio Banding」という考え方

この考え方はスイスでは既に取り入れられ出しているらしく、ドイツでも今後この考え方を取り入れる可能性が高い様だ。
 
その考え方とはサッカーのシーンでカテゴリー分けを年齢によってするのではなく、生物学的な成長によりカテゴリー分けをするというものだ。
 
例えば 中学1年生の年代だけど同じ学年の選手達と比べ成長が遅い選手が、検査により成長の遅さが認められた場合、一つ下のカテゴリー(小学6年生)でのプレーが可能
 
ヨーロッパではチームを年齢ごとに分けている(U12,U13,U14の様に)ので、この考え方はやりやすいかもしれないが、日本の場合はそれぞれの節目である小学生、中学生、高校生ではこの様なシステムを導入するのはかなり難しいかもしれない。
 
ただ年齢ではなく、成長によってのカテゴリー分けで、同学年では体格やフィジカル的に勝てなかった選手が、より多くの成功体験を得れる可能性は高くなり、その事による才能の取りこぼしは減少するだろう。
その他にも育成年代でのサッカーからのドロップアウトを少なくし、サッカーを生涯スポーツとしてプレーする選手も増えるかもしれない。

指導者として考えるべき事

Bio Bandingの様な考え方からカテゴリー分けをするというシステムが導入されるのは簡単ではないし、されたとしてもまだ先の話になるだろうが、指導者としてこの考え方を頭の片隅に置いておけば、明らかに成長が遅い選手の評価基準を少し変える事が出来ると思う。
 
U13の選手がU14やU15の試合でレベル的に渡り歩けるのであれば高い評価を得れるのと同じ様に、同学年であっても晩熟な選手がレベル的に渡り合えるのであれば同じ様に高い評価をしてあげなければならないし、少しパフォーマンスがその学年で低かったとしても、評価の基準を指導者が成長度合いによって考えれれば、様々な面でポジティブな結果が得られるだろう。

個人的な意見

とは言うものの、自分としてはこの考え方が全ての選手に当てはまる分けではないと思っているし、体が小さい、フィジカルが同学年の選手と比べて劣る、というウィークポイントを補う為に、判断であったり技術を凄く伸ばす事が出来る選手も多く存在すると思っている。
 
ただ考え方に幅を持たせる事で、選手それぞれに合った成長法を見つけていってあげれる指導者になれればいいなと思い、日々勉強をするのみ。
 
さぁ明日もまた頑張ろう!