2014年の4月になってガードマンの仕事はやめて新規開校される学習塾のチラシをポスティングするアルバイトを始めた。最初のうちは2000部だけだったが、反響が多かったらしくて、塾のエリアを統括する人(役職名は忘れたので以下エリアマネージャーとする)からもっと配ってほしい、できれば土日もと言われ並行してやっていた土日の不動産のティッシュ配りは仕事を入れずにこちらにしばらくは重きをおいた。とは言っても月にして35万円くらいの収入になったのでそのお金で原付バイクの免許を取り直して中古のカブを買うことができた。
ある時テレビを見ていたら筑波大の教授が開発したというHALという装着型のロボットについて特集していた。HALは人がたとえば足を動かそうとするときに、そのわずかな生体電位信号を読み取って意志に従って人と一体化して動くというものだそうです。それが脳卒中などで片麻痺になった人などにもリハビリの現場で使われているということだったので母にも使えないかとHALを採用している病院を探したら意外にも家から車で10分くらいの距離の病院にあった。
母は退院して家に戻ってからは現状維持のままだったので、少しでも良くなる希望があるのならと母を連れて8月から週1回そこに通うことになった。
塾のポスティングの仕事は開校して夏期講習が終わるまでの短期のアルバイトだったが、その後もエリアにある11校を週4回回ってほしいとエリアマネージャーから言われ続けることになった。僕は相変わらず自分の心の声が誰かに聞かれているのではないかと怯えながら、頭の中に聞こえる”彼女たち”の声にイラつきながら日々を過ごしていた。