【ベテラン記者のデイリーコラム・正木利和のスポカル】東京五輪 | 鈴木のブログ

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 日本歴代10位以内の選手を見渡してみればいい。1位の高岡寿成をはじめとして、箱根駅伝を走っていない選手がその半分を占めているのである。それは、つまり箱根で活躍した選手たちが社会に出て思うように成長していない、ということを示している。

 こうした状況を生む選手の心理には、「箱根」が最終目標となって、出場するだけで満足してしまう、つまり大学で燃え尽きてしまうという点が指摘されている。本来は世界で戦うはずのステップとしての役割を担っているはずの「箱根」が華やかになればなるほど、その傾向は強まる。

 さらに、大学もまた、PR効果の高い「箱根」で上位を目指す強化を進めていくことで、「箱根」で自己完結してしまうシステムは、ますます強固になってゆくのである。

 10区間のうち4区だけを除いて各20キロを超える箱根は、走者に「耐久性」を求めるコースである。従って、トレーニングも、距離を踏むことが重要になる。

 しかし、それこそが「箱根」の持っている「前時代性」なのである。

 日本の選手が国際大会でメダルを狙える長距離種目は、マラソンしかない,エルメスバーキン40。そのマラソンも、かつてのような「耐久性」の時代は過ぎ去り、とっくに「高速化」の時代に入っている。そうした世界の潮流を考えれば、学生時代にはトラックを中心にスピードを磨くことが求められる。

 ところが、1万メートルの日本記録がもう10年以上も破られていないのは、「箱根」を軸にした学生の距離を踏むトレーニングが、スピード強化を阻害しているから、という声がある。

 1万メートル28分~29分台の優秀な高校生が、学生時代に27分台、社会人となってさらに記録を縮めるという風に育っていかなければ、日本は「高速マラソンの時代」にとっくに入った世界から置き去りにされる。

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