●今週のあらすじ
祝!表紙&巻頭カラー![]()
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ドリームトーナメント決勝戦、10対10で延長戦12回の裏、スーパースターズの攻撃。
ツーアウトで三塁に岩鬼を置き、4番山田に打順が回った。
ウォーリアーズの中西と微笑は打ち合わせを終え、プレー再開。
勝負か敬遠か。
静まり返る甲子園球場、キャッチャー微笑は座った。
中西振りかぶって第1球、165キロのストレート。
山田は見送り。
中西は勝負に出た、これに球場中に歓声の嵐が巻き起こる。
2球目、166キロ。
三塁線へのファール。
3球目、4球目、5球目とストレートが続き、いずれもファール。
前に飛ばせない山田に業を煮やしたのか、岩鬼がタイムを取って山田に何やら話した。
6球目、165キロにまたもファール。
次は7球目、岩鬼は自分の教え通り山田に打つようゼスチャーを示す。
次の瞬間、山田は力強いアッパースイング。
打球はバックスクリーンへ。
山田の4試合連続サヨナラホームランで幕切れとなった。
夜も更けた甲子園球場。
ベンチに山田の姿があった。
名残惜しく球場を後にできなかった山田のもとに、岩鬼が現れた。
山田達は初めて出会った日のことを思い出したのだった。
●明訓四天王の絆
とうとうこの日が来てしまった。
まずは、試合の内容を振り返ってみよう。
前回の様子からすると敬遠の雰囲気するあったけど、勝負にいった。
やはり中西球道はこうでなくちゃね。
今回の球道はいつもと違うところがあった。
「ぬおおお」、「うおおお」、「どりやぁ」といった叫び声がなかったのだ。
叫び声の代わりに「ガバァ」という擬音語が使われるとき以外は、常に叫んでいたイメージのある球道。
雄叫びのエネルギーさえも球に込めたということかな。
対する山田は、フォームを崩されるほど打ちあぐねていた。
そんな山田に効いたのが岩鬼のアドバイス。
アッパースイングで打てと。
一球が最高のフルスイングだと称した山田のバッティングを岩鬼はこう一蹴した。
「おんどれらのレベルではな わいと山田はケタが違うんや」
このセリフは嬉しかったね。
山田を自分と同じくらい別格だと岩鬼が認めている証なのだから。
『ドカベン』第1話から作品を引っ張ってきた二人の信頼と絆を強く感じたよ。
ちょっと横道に逸れるけど、岩鬼の山田に対する信頼を感じる印象的なシーンは過去にもあった。
明訓対光高校戦だ。
光高校が1点リードで迎えた9回の裏、二死満塁の場面、岩鬼は山田が代打で起用した。
前試合で足に怪我をした山田は、たった一振りしかできそうになかった。
山田が打席に向かうとき、太平監督と岩鬼がこんな会話をした。
太平監督「山田で負けるなら悔いねえだやな」
岩鬼「冗談やない この打席で野球生命が終わろうと山田には打ってもらう 山田で負けたら悔いだらけでんがな
山田の根性なら振れる いや必ず打つと信じて出したんでっせ わいは」
(『大甲子園』16巻)
鬼気迫る岩鬼の表情とこの熱いセリフ、『ドカベン』史に残る名場面だと思う。
閑話休題。
岩鬼が山田と話している内容は、ほかの選手らには想像がつかなかったようだ。
北や土井垣監督は単なる激だと思い、一球は何かあると思わせぶりの牽制だと思った。
そんな中、岩鬼の真意をズバリ見抜いていた男がいた。
殿馬だ。
殿馬は、岩鬼がヒットの打ち方をアドバイスしていると一発で見抜いていたのだ。
ポツリと言った一言だけど、これも重いよね。
誰もわからなかった岩鬼の行動を殿馬だけはすぐに理解していたのだから。
「ヒットの打ち方づらよ」のセリフから、長年ともに野球をしてきた明訓四天王の絆を感じたよ。
そして、岩鬼のアドバイスが実り、山田はホームランを打った。
山田の背中と打球とバックスクリーン、いい光景だったと思う。
今回が最終回を迎えると聞いて、4試合連続サヨナラホームランはわかってはいたけど、山田が決めてくれると作品が締まるんだよね。
●キャラクターを通じての水島新司先生のお言葉
里中「山田は日本プロ野球の誇りだ」
犬飼武蔵「最高だな山田って」
球道「山田はおれが今までに出会った中で1番の選手だ」
太平洋「すばらしい山田選手でした!!ありがとう我らがヒーロードカベン!!」
武蔵坊「日本一の打者山田太郎」
多くの選手らが山田に最高の賛辞を贈る。
今回のブログのタイトルは、太平のセリフを引用したよ。
これらは水島先生自身のお言葉でもあるんだろうね。
そして、これも水島先生のお言葉だと思う。
豆タン「終わりましたな あんさん」
藤村甲子園「終わったな 豆タン」
トーナメントの終わりだけでなく、46年という長きにわたって続いてきた『ドカベン』が終わったことをこの二人のセリフに託したのだと思う。
初期の『ドカベン』と同じ時期に連載されていた『男どアホウ甲子園』の主人公に語らせたところが実に深い。
ここから物語はエピローグに入る。
熱戦を終えて静寂に戻った甲子園球場、山田はベンチで余韻に浸っていた。
その様子を藤村球之進が優しく見守っている。
藤村のじっちゃんのセリフはなかったけど、山田の気持ちを察し、気が済むまでいさせてやろうという心遣いだったんだろうね。
山田を見つめる藤村のじっちゃんの眼差しも水島先生自身のものだったのかもしれないね。
何気ないけどじんわり来るシーンだったよ。
そして『ドカベン』の締めは、岩鬼と山田の出会いの回想シーンだった。
といっても、現在のタッチですべて描き直されている。
コミックス1巻と比較してみると面白いよね。
シンプルな山田の顔さえも結構雰囲気が違う。
今の方が柔らかい印象があるね。
ほんの一コマ大河内が出てきたのもちょっと嬉しかったよ。
ラストシーンはサチ子だった。
無印『ドカベン』の初期のコミックスには、表紙の折り返しに作者のコメントとしてこんな記述がある。
山田とサチ子と岩鬼の「“花のトリオ”がくりひろげる奇想天外なものがたりをお楽しみください。」
最後は原点回帰で第1話を振り返り、花のトリオで締めたんだね。
なるほどね、予想できなかったけど、納得の終わり方だよ。
最後のコマには水島先生らしき人の姿が見える。
サチ子の方を見ずに前に進んでいる様子は、『ドカベン』には区切りをつけた、これからも作品を描き続けますというメッセージが込められているのかも。
●最終回の重み
それにしても、さすが最終回、表紙、巻頭カラー12ページ、全40ページの豪華さ。
ところどころに書かれたコピーも最終回を盛り上げる。
「ありがとう、ドカベン。巨匠激筆最終回特別号!!」
「ドカベン、ここに完結!!」
「ありがとう、山田太郎。明訓四天王よ、永遠なれ。」
「野球漫画の金字塔、万感の最終回!!」
「国民的野球漫画、ここに完結!!」
「ドカベン ドリームトーナメント編/閉幕」
一つ一つの言葉に最終回の重みを感じたよ。
目次に書かれた、他の作家さんのコメントや編集後記もよかったよね。
水島先生へのねぎらい、同じ雑誌で連載できて光栄だったなど、ファンとしてもジーンと来たよ。
何より終わりを実感したのが、最後のページの「完」の文字。
水島先生の直筆だったことが実に重みがあるよ。
水島先生、『ドカベン』は最高です。
特に、他の作品から多くの選手が移籍してきた『ドリームトーナメント編』には毎週ワクワクさせられました。
最後のページの片隅に「水島新司先生の次回作にご期待ください!!」の記述を見つけました。
もちろん、期待しています。
ありがとうございました。
●これまでブログへコメントをくれた『ドカベン』ファンのみなさんへ
とうとう終わってしまいましたね。
最終回を読んでの今回のブログも、あれこれ深読みして長くなってしまいました。
これまで拙いブログにお付き合いいただきありがとうございました。
寄せられたコメントを読むと、選手一人一人に、その対決に、皆さんががいろんな感想や思い入れを持って『ドカベン』を楽しんでいるのが伝わってきました。
特に、過去の作品を振り返ったり、独断でベストナインを選んだりしたときに、感想を寄せていただいたのは嬉しかったです。
痺れるような勝負がたくさんありました。
出てきてほしい選手もたくさんいましたよね。
もっともっと読み続けていたいです。
こんなに魅力的な選手がいるのですから、公式戦やオールスターはドリームトーナメントと同じくらい盛り上がること間違いなしでしょうから。
でも、来週号のチャンピオンを手にとっても、山田や岩鬼の姿はありません。
僕達はそのとき改めて『ドカベン』が終わったことを実感するのでしょうね。
そう考えると寂しくなってしまいます。
こうして『ドカベン』が終わった今、『ドカベン』ネタのブログも一区切りです。
作品に寄り添って毎回書き続けてきた今、達成感もあります。
この一週間、カウントダウン企画と称し、読み返してはブログを書きの毎日で、完全燃焼できました。
僕なりの『ドカベン』の卒業式を終えた気分です。
コミックス33巻は8月8日(水)、最終巻となる34巻は9月7日(金)に出るそうです。
新刊が出たとき、あるいは水島先生の新作が出たとき、はたまた気が向いたときに、また『ドカベン』ネタを書けたらいいなと思っています。
ありがとうございました。