嵐*妄想小説

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Side:O



「楽しそうなことしてんねぇ」

「まぁ実際、楽しかったですよ」

長々と続いてきた事件はどうやら解決したようで、翔くんは少しスッキリした顔をしていた。

屋上で会えばすぐに駆け寄ってきていろいろ話してくれた。
あの人もこの人も関わっててこういうことになって、それでああなってどうなって_

まぁよく喋る。
楽しそうに。

本当はもっと早く話したかったんだよって。
ああそうなの。
最近俺屋上来てなかったからね。

返事をしようにもずっと喋り続けるから、割り込むのも悪いかと思って相槌だけにする。

こういうの、たまにあるなぁ。
たまに?
いや割と。
一人で楽しそうに喋ってるの。

短くなった煙草を最後に一口だけ吸って、灰皿に潰した。
一瞬濃い苦味が広がる。
今日も青すぎる空に溶け込んで消えていく。

「これきっかけで二宮先生とよく話すようになったし…」

嬉しそうな顔してる。

翔くんは本当にいろんな表情をするから面白い。
こうしたらすげぇ笑うだろうなとか、喜ぶだろうなとか。
ちょっと困ってる顔とか、見てて楽しい。

…あぁ、なるほど。

「分かるかも、ニノの気持ち」

「はぁ?」

「翔くんにはちょっかいかけたくなるんだな」


うまく説明はできないけど、多分、そういうこと。
翔くんが持つなにか魔力みたいなもののせいで、ちょっとした悪戯を仕掛けたくなる。

こう思うのは俺だけじゃないから、ニノには共犯者がいたんだな。
きっとね。


「それねぇ…松潤にも言われた」

「んはは、やっぱし」

風が吹いて、夏の匂いがした。
蝉時雨は耳に心地いい。


「あっそうそう、今週の金曜飲み行くんだけど、大野さんもどう?」

「んー…」

「二宮先生、相葉くん、松潤。で、俺ね。相葉くんが大野さんと話したいって」

「行こっかなぁ…。ニノも松潤も翔くんもいんなら」

「俺もニノって呼びてぇな…呼べるかな…」


夏の真ん中、あつい日。
ひと夏の事件はこうして幕を閉じた。

翔くんはきっと、これからもいろんな人にちょっかいかけられるんだろうなって思う。

けどそれは、とりあえず今は言わないでおこう。






End.



△▼△▼△▼△▼△▼△



着地点を模索してたらこんな時間に( ˘ω˘ )

ただのコメディのような、5人のてんやわんやを書きました〜!

にのあいは幼馴染だったらいいなぁとか…
大野清掃員は二宮先生と仲良しだろうなぁとか…

松本警備員が鳥さんにおはようって言ってるのを櫻井用務員は偶然見て欲しいなぁとか…


ほのぼのを書いてたらシリアス書きたくなりました。
新しい長編小説、プロットだんだん出来てきてます\( ¨̮ )/







Side:S



水曜日。

夏休み前で浮かれた雰囲気の学校。

快晴。

4時限目。


「…いた」

ようやく犯人見つけました。
現行犯です。

現行犯なので、逮捕します。





「相葉先生。お仕事、お疲れさまです。」

憎いくらい綺麗に咲いてる花。
水滴が陽の光を反射してキラキラしている。

水やり、俺より様になってるんじゃないかなこの人。
緑と夏が似合う男だから。

「おー!翔ちゃん!」

ホースを止めて、満面の笑顔。

今までずっとホースでやってたんだろうか。
長さが少し足りないからやりづらいんだよなぁ。
すぐそこにジョウロ置いてあるのに。


「あの。…確認ですけど。」

「あっごめん、学校で翔ちゃんはダメか」

「それは別に問題ない。…俺さ、相葉くんに話したよね?花壇のこと。事件のこと!」

話したさ。
飲みの席だったけど、忘れたとは言わせない。
相葉くん、そんなに酔っ払ってなかったじゃないか。
この事件に一番興味を示してくれたのは、他でもないアナタだった。

嘘つけるタイプには見えないのに、いやはや犯人は意外なところにいるものだ。

「事件…あっ、そういや言ってた!…ん、あれ?俺?…じゃないよ!?」

「うるせぇ!現行犯逮捕だ!」

多分、ちょっと楽しくなっていた。
犯人が相葉くんだったから。
唯一、こうして仲良くしているこの学校の先生。

暑さにもやられていたのかもしれない。
どちらにせよ、テンションが上がっていたのは確かだ。

勢いのまま、ホースをぎゅっと。


「う、わっ!翔ちゃん!?」

シャワーのように水が頭から降りかかって。

いや、ナニコレ。
涼しいけど。

「何自爆してんの…ふふふ」
「笑うなよぉ…」

頭に巻いたタオルを取って、絞って。
ぽたぽた、アスファルトにシミを作る。

「あ!乳首透けてるー!ポチッ」

「バっ、お前やめろ!学校だぞ!」

相葉くんはからから笑って、ホースを片付ける。

すぐそこで授業をやっているのに、大の大人2人が何やってんだか。
近くの理科棟から笑う声が微かに聞こえてくる。
今日の化学は実験らしい。


「残念ながら誤認逮捕だと思うよ?」

「…は?なんで?」

ふらふら歩き出した相葉くんについていく。
彼は俺の顔を見て楽しそうに笑った。


「ニノちゃんにね、頼まれたの。今日水やり代わりにやってくれって」


ニノちゃん?

って、まさか。

「二宮先生、のこと?」

聞いたら頷いて、立ち止まる。

日陰。
理科棟。
実験室の前。

「ほら、こっち見てんじゃん。…昔から変わんないんだよねぇ、この顔」


見計らったようなタイミングで、ちょうど窓際で見回りをしていた足を止めて。

俺の顔を、というかびしょ濡れになった体を伺うように見てから、くしゃっと笑った。

悪戯が成功した子供みたいな顔で。












Side:N



週のはじめ。
一番怠くてイヤ〜な曜日。

月曜日は、一限から授業がある。
面倒くさい。
生徒だって月曜の一限目に化学なんか嫌でしょうに。
さらにまた怠いのは、三限まで連続で授業があること。

これは木曜も同様に。

一限から三限までぶっ続けで授業。
気力が持たない。

だから四限は外に出て、気分転換をする。
爆笑起こってるクラスあるなぁって思ったり、音楽の授業で歌が聴こえてきたり。
購買のパンを届けにくるお兄さんとは、挨拶のあと今日の天気のことだとかを話す仲になった。

それで、最近気づいたことがある。
三限が終わってコーヒーを半分くらい飲んでから行くと、ちょうどいい時間になること。

ちょうどいいっていうのは、つまり。


「お疲れさまです」

「…あぁ、二宮先生。そちらこそ」


花壇に水をあげる手を休めて、こちらに微笑む用務員さん。
ずっと外にいたのか、首筋に汗の粒が光る。
こんな夏の日に、なんつーハードワークだ。

「いいですよねぇ、こいつらは」

呟いてから花壇に視線を落とした。
水に濡れた花は自慢げに人間を見上げている。
花びらから滴り落ちる水滴。

「あぁ…花?」

「そう。毎日涼しそうでいいご身分ですよ」

「はははっ!そうっすね、水浴びて」


そう言って笑うと休めていた手を動かして、ジョウロから霧状の水が花に降り注ぐ。
小さな虹が見えた。

綺麗ですねって言おうとして顔を見たら、ちょうど目があった。
多分同じことを考えてたんだろう。

「これ、あげます」

「え?あ、ありがとうございます!助かります、塩飴」

白衣のポケットから取り出した飴を手渡す。
今度は、冷たい飲み物でもあげようか。
もしどんどんスケールアップしていったら、この人はまた面白い反応をするんだろうな。

水やりの犯人探してるみたいに。

「じゃあ、また」


最近の俺の楽しみは、こうやって櫻井さんに会うこと。
出来たら話すこと。

それと、一限をやっている時間、彼の代わりに花壇に水をやること。
月曜日と木曜日以外。



「犯人と被害者は近頃よく話すねぇ」

「面白いのよ、あの人全然気付かないから。目の前に犯人いるのにって思いながら話してる」

「くはは、悪い顔してんなぁ。犯人呼びも違和感ないよ」


我が校が誇るイケメン警備員は、その一部始終を見て俺と一緒に楽しんでいるらしい。

いわば共犯者。


そろそろ犯行がバレてもいいかな、なんて思う。
というより、ここまでバレないと思わなかったから、そろそろネタバラシしてやらないとなんだか可哀想だ。

普通にバラすだけじゃつまらない。

あの人に一役買ってもらいますか。