*シューマンの歌曲 (21) - リーダークライスOp.39-11 森の中で ー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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≪ドレスデン時代②≫

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1845年7月、作曲が一段落するとシューマンの関心は音楽活動に移り
ます。
ドレスデンの音楽家との親交も深まり、ワグナーとの行き来が度々
日記に顔を出すようになりました。


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ワグナーは、1839年から42年までパリにいたのですが、43年ドレス
デン宮廷歌劇場第二指揮者に就任していました。

シューマンは、「ドレスデン定期演奏会」創設の集まりでワグナー
と顔を合わせ、ワグナーもしばしばシューマン家の客になります。
しかし、二人は深い親交を結ぶには至らなかったようです。
「タンホイザー」のスコアが送られて来てもシューマンは関心を示
さず、それどころかメンデルスゾーンを相手にこの作品を冷評した
ほどでした。
しかし、実際に「タンホイザー」の上演に接してその見解を改め称
賛することになりました。その後、「ローエングリーン」のスコア
も熱心に研究したようです。

一方、ワグナーの方もあまりシューマンの音楽には共感しなかった
ようです。
「シューマンの音楽は、全く旋律がなく、シューマニアーナたちの
ようには理解できない」とか、「変ホ長調交響曲のアンダンテには
美しい瞬間があるが、まるで中身がない」などと酷評していました。
ただ、1843年のシューマン宛ての手紙では「あなたのピアノ五重奏
曲はとても好きです。奥様にもう一度演奏して頂きたいとお願いす
るほどでした」と書いています。
そして、シューマンは、1849年、ベートーベンの「第9」の指揮に接
したのがワグナーと会う最後になります。

1853年には、その頃には保守的とみなされるようになったシューマン
は、若きブラームスを世に送り出すことに奔走しましたが、どうやら
彼をワグナーと対立させる意図を持っていたようです。

今日は、ワグナーも認めたピアノ五重奏曲変ホ長調Op.44マルタ・
アルゲリッチ
のピアノ、ミッシャ・マイスキーのチェロでアップして
みます。


ピアノ五重奏曲 第1楽章

ピアノ五重奏曲 第2楽章

ピアノ五重奏曲 第3楽章

ピアノ五重奏曲 第4楽章


≪今日の1曲≫

今日はリーダークライスOp.39の第11曲

「森の中で Im Walde」

をバリトンのフィッシャー=ディースカウ、ソプラノのエリー・アメ
リンク
の歌唱で聴いてみます。
森の中の幻想的で、どこか不気味な狩りの情景が描かれます。


11. Im Walde 森の中で
Es zog eine Hochzeit den Berg entlang,
婚礼の一行が山に沿って進んでいた。
Ich hört die Vögel schlagen,
小鳥の歌うのが聞こえていた。
Da blizten viel Reitter, das Waldhorn klang,
そこを多くの騎馬が轟き走り、角笛が鳴り響いた、
Das war ein lustiges Jagen!
それは楽しい狩りだったんだ!

Und eh Ich's gedacht, war alles verhallt,
だが僕がそう考える前に、すべては消え去ってしまい、
Die Nacht bedecket die Runde,
夜があたりを覆ってしまった。
Nur von den Bergen noch rauschet der Wald,
山の方だけはまだ森がざわめいていて、
Und mich schauert's im Herzensgrunde.
僕は心の底でぞっと身震いした。


フィッシャー=ディースカウ(Bar.)(ピアノ:ヴァイセンボーン)

エリー・アメリンク(Sop.)(ピアノ:イェルク・デムス)