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中田サインに170人整列

シュート練習で中田英が外すと、「ヒデ、下手くそ~」と国内組から盛んにやじが飛んだ。中田英もうれしそうだった。こんな光景もこれまでなかった。不評のフィオレンティーナでは、練習中にゴールを決めても「本番の試合でやれよ」と嫌みが聞こえてくる。中田英は晴れ晴れした表情で汗を流していた。

 午前の練習後には、中田英が珍しく日本人ファンにもサインをした。「押すなぁ~。普通に並べるようになったらやるよ」と5人にサインしたところでその場は打ち切ったが、午後の練習を終えると約170人のファンがきちんと整列して待っていた。これでは無視するわけにはいかない。中田英は『H』を崩した簡単なサインを9分17秒かけ、全員の求めに応じた。

 18歳でプロデビューして以来、一度にサインしたファンの数は最多だったろう。「見てください。これこそ、ヒデ効果ですよ」と話す協会関係者の言葉通り、小野も中村も高原も、笑顔でファンにサインしていた。これまでの日本代表にはない光景だった。

 ジーコ監督と中田英は、約1年の空白を経て「理想の上司と部下」になった。2年前の冬にはブラジルの自宅に中田英を招待し、故障に苦しむ今年2月には「私も同じ年齢で大きな故障に悩んだんだ」と電話をかけてイタリア語で話した。

 「ヒデは、今年に入って3試合連続で試合に出られず、肉体的も精神的にも相当参っていた。それがジーコに招集され、気持ちの張りが出てきたんだ。アイツは今、絶好調ですよ」とチーム関係者は証言する。

ジーコのスタメン発表方法

毎回、ジーコ監督のスタメン発表は荘厳な儀式のように行われる。試合当日、帯同した選手全員を会場に呼び、1人ずつ選手を別室に招いて「君は先発だ」「今回は控えだ」。そして「ベンチの外で頼む」と通告する。

3月23日 イラン戦前 紅白練習

【テヘラン23日=岡本学、西尾雅治、山下健二郎】4バックが混乱した。ドイツ合宿を打ち上げ前日22日夜(日本時間同日深夜)に当地入りした日本代表は、明日25日のW杯アジア最終予選イラン戦に向けて2日ぶりに練習を行った。戦術練習では2トップを除いたDF、MFの8人が深く下がって守備の連係を確認。引いて守ってからの速攻を狙ったが、中盤と最終ラインでマークの仕方などで混乱を見せるなど、決戦を前に不安が立ち込めた。
 2トップを除いた9人での戦術練習で、守備陣が混乱した。ジーコ監督が本山を仮想マハダビキアに指名してグラウンド半面を使用しての守備練習。4バックと右から中田英、福西、小野、中村と並んだ中盤がラインを下げ、ペナルティーエリア付近で相手に自由なスペースを与えない。しっかり守ってからのカウンターを狙った戦術練習。しかし、マークの受け渡しやボールの奪い方で意思統一ができない。中田英が福西と身ぶり手ぶりを交えながら話し合いを始める。そこに宮本、小野が加わり、さらには中央付近にいたジーコ監督までが歩み寄って、その輪に加わった。
 福西は「ヒデ(中田)もボランチも後ろも、自分の考えを言い合った」。宮本は「今日はうまくいかなかった。思っていることをぶつけ合った」。中田英はボランチがサイドへ出て守備をするよう主張したが、センターバックから「中央に残って守備をしてくれ」といわれているボランチは、すぐに中田英の意見に同意することはできなかった。三浦は「どちらの意見も正しいが、もっと話し合う必要がある」。加地は「まだまだですね。どこでボールを奪いにいけばいいのか分からない。マークもずれていた」と困惑気味に話した。練習後には宮本とジーコ監督が10分間のミーティング。イランとの決戦を明日25日に控え、守備陣に不安が襲った。
 昨年4月の東欧遠征以降は、21戦中19試合で3バックを採用してきた。20日にドイツ合宿に合流した中村が4バックに戸惑いを見せたように、違和感はないまでもしっくりはきていない。しっかり守ってから速攻を仕掛けるという狙いも、守りが破たんすれば作戦そのものが「絵にかいたもち」になる。直後の紅白戦(36分間)では大黒に2ゴールを許すなど、個人のつまらないミスから失点して1-2とレギュラー組は敗れてしまった。
 ただ、開始5分に玉田がゴールを挙げたシーンでは、日本の狙いが結果になって表れた。中田英が自陣深くでボールを奪うと、逆サイドの中村へ大きく展開。左サイドを三浦が駆け上がってボールを受け、中央へ走り込んだ玉田の頭にピタリと合わせた。鮮やかな速攻からのゴールが、4-4-2のシステムから生まれた。警戒する相手の右サイドが攻め込んできたものを受け止め、イランの守備陣が戻る前にゴールを狙う。ジーコ監督はイラン戦に向け「もちろん勝ちにいく」と勝利を宣言。不安を露呈した形の日本代表だが、ジーコ監督だけは決戦へどっしりと構えた。


[日刊スポーツ:2005/03/24 10:23]

3月22日 all about

中田英のコンディションも今のところ「未知数」といわざるを得ない。フィオレンティーナでコンスタントに試合に出ていない彼だけに、ゲーム体力も絶好調時のレベルではないだろう。周囲との連携も気になる。本人は若い本山雅志(鹿島)や大黒将志(G大阪)に声をかけるなど、かつてないほど積極的にチームに溶け込もうという姿勢を見せているが、実際にピッチ上でスムーズに行くかどうかは試合にならないと分からない。

明日23日にはイランで最初のトレーニングが行われる。ジーコ監督は少し踏み込んだ守備戦術の確認をするのだろうか。テヘランでの彼らの様子が気になる。

(取材・文/元川悦子)

3月22日 中田中村小野福西

【テヘラン22日=久保武司】W杯アジア最終予選をイランと戦うジーコジャパンは22日、テヘランに到着した。最大最強のライバルとの敵地決戦。カギは握るのは、過激で知られるイラン人サポーターとなりそうだ。テヘランには、故障離脱のMF藤田に代わって緊急招集の柳沢もイタリアから合流。ジーコ監督はすでに、25日のイラン戦本番のスタメンを固めている。

 テヘラン入りしたジーコ監督は「もう、いつでもいける体勢が整った」と一切の不安を口にしていない。中田英、中村、小野を並べる“黄金の中盤”復活構想からは稲本が外れ、「このチームの貢献度からポジション争いを勝ち取った」と、空中戦にも強い福西の起用を決めた。

3月22日日本代表練習

中田リラックス ファンにサインも
 黒のサングラスを着用した中田はピリピリした様子もなく搭乗した。コンディションは上がっている。21日の練習では4―4―2の右MFに入って連係を確認。シュート練習でも右足で入念に打ち込んだ。練習後はMF本山とパス練習をするなど、仲間との久しぶりの再会を喜んだ。さらに練習に詰めかけた200人のファンに約10分間、サインをするなどサービス精神も発揮。「頑張ってください」との声に表情を緩めていた。先発起用を決めたジーコ監督も「彼のよさを出して勝利に貢献してほしい」と期待を寄せていた。


[ 3月23日 6時3分 更新