彼女とは久しぶりの再会だった

会いたかった 別れてからずっと会いたかった

ニューヨークでの恋だった



待ち合わせ場所

マンハッタンの夜景が一望できる

マリオット・マーキーホテルの最上階ラウンジ


待ち合わせの時間まで 

まだ一時間ほどあった


ホテルの近くにあったインド料理店で

なぜか僕はテイクアウトを頼んでしまう

しばらく時間がかかると店員が言った



一時間後

待ち合わせ場所のラウンジへ



待ち合わせ時間を過ぎて

三十分が経った

彼女は現れなかった



だから

僕は彼女の住んでいたコンドミニアムを

訪ねてみることにした


でももう二十年以上も昔の話だ

彼女がこの街に住んでいたのは



彼女の部屋の前に着いた

大きな黒い鈍く光る金属製の扉があった

扉を音がしないようにゆっくりと開けた

深海を思わせる暗い奥の部屋

彼女がベットで寝ていた



僕は近づいて

だいじょうぶ と声をかけた

彼女は

ごめんなさい 体調をくずしちゃって

行く事ができなくなったの

少し無理してほほえんでくれた



身体を重たそうに起こして

彼女が僕に近づいてくる



僕たちは口びるを重ね合った



もう一生

あなたには

会えないかもしれません



僕の耳元で彼女がささやいた




夢だった リアルな彼女の夢だった