Please leave your message after the beep.
声が好きだった
受話器の向こう側で聞こえる彼女の声が好きだった
ニューヨーク 1993年6月13日
何度か電話をかけた いなかった
夕方の電話で彼女に繋がった
彼女がささやく
日本にあなたが帰る前に 会いたい
つきあってる彼 今日本に帰ってるから
電話にメッセージ残してかまわないから
からだ無理されませんように
彼女がささやく そして沈黙が広がる
Please leave your message after the beep.
君が英語で話す声 好き 大好きなんだ
白い受話器を右手で握りしめる
窓の外を見る
マンハッタンの空が赤く染まる
彼女との会話がまた始まる