丸の内ルーブルで映画「ゼロ・グラビティ」を観たあと日比谷駅から都営三田線の地下鉄に僕は滑りこんだ少し疲れていたせいだろうか乗客が少なかったせいだろうか誰も座っていない優先席に僕は座ったんだ白い携帯を握ってXmasパーティに遅れることをメールしようとしたら反対側の席に座っている白髪まじりのおじさんが僕に言ったんだこの席は携帯を使用しちゃいけないんだって僕は慌てて白い携帯電話を上着の内側に直しこんだそして目を閉じたんだすると鼻のあたりに生温かいものがあふれてくるのを感じた血があふれてきた右後ろのポケットからハンカチを取り出して鼻をおさえて宙をみあげる血はなかなか止まらなくてハンカチが赤く染まりはじめる(東京物語断片)