こちらの続きです。
母が話し始めました。
話し合いが始まってから小一時間ほど経っていました。
「あなたはずっといい子で、心の優しい子だった」
「それが今はお母さんを捨てようとしている」
「全部そいつと結婚してから変わってしまった」
「どっちが大切かよく考えてほしい」
「結婚しても、所詮は赤の他人」
「最後まで味方なのは血の繋がった家族だけだよ」
言い聞かせるように、
こちらが考えを改めるように、
母は言葉を紡ぎました。
周りの親戚たちも、こちらを見ています。
私は一分ほど、口を閉ざしました。
気持ちは固まっていました。
後は言葉を探すだけです。
全員が、
期待を込めた目をこちらに向けていました。
私はまだ完全になっていない言葉を、
少しずつ口にしていきました。
「出ていってほしいという気持ちは変わらない」
「血の繋がった家族と言ってもらえるのは嬉しい」
「でも今の俺の家族は妻と子供たちだから」
「3人を一番に考えられるように生きたい」
ドラマや映画だったら、
そこで母含め親戚一同が、
理解を示し、応援してくれる流れでしょう。
現実は、罵詈雑言の嵐でした。
どんな言葉を言われても、
気持ちに変化はありません。
むしろ、
暴言を吐かれるたびに、
こんな人たちからは離れたい、
という気持ちが強くなりました。
各々が言いたいことを言い終えたのか、
ふと静かになった瞬間に、
再び母が口を開きました。
