Jack-o`-lanternについて  



ハロウィンで最も有名なお化け、ジャックランタン( : Jack-o'-Lantern, ジャック・オ・ランターン)の伝承について紹介します。

ジャックランタン(  
: Jack-o'-Lantern, ジャック・オ・ランターン)は、ハロウィンの定番中の定番とも言えるお化けです。ハロウィンの時期は、カボチャをくり抜いたジャックランタンが数多く作られます。このお化けは、世界各地に存在する鬼火伝承の中の、「ウィルオウィスプ」と「ジャックランタンの二種類の話が元になっています



◎「ウィルオウィスプ」と「ジャックランタン」



 一つ目は、ウィル(ウィリアム)という男の話です。その昔、ウィルという口は巧いが卑怯で、素業も最悪の鍛冶屋がいました。彼は遺恨により殺された後、死者の門にたどり着きますが、そこで聖ペテロ(死者を天国行き)か地獄行きかを選定する者)を騙して生まれ変わります。しかし、ウィルは第二の人生も悪行三昧でした。

その後、再び死者の門を訪れたウィルは、聖ペテロに「お前はもはや、天国に行くことも地獄に行くこともまかりならん」と告げられてしまいます。地獄にも天国にもいけなくなったウィルは、煉獄(天国と地獄の間にあり、小罪を犯したもの、罪の償いが残っているものが、天国に行く前に悔い改める場所)を漂い続けることになります。それを見て哀れんだ悪魔が、地獄の劫火から轟々と燃える石炭を一つ、明かりとしてウィルに渡しました。

 この明かりは、時々現世に種火のような弱い光を投げかけます。それから、夜中に不思議な光を見ると、哀れなウィルになぞらえて「種火のウィル」、「ウィルオウィスプ」と呼ぶようになりました。これを、ジャックの角灯、「ジャックランタン」とも呼び、これが元になったというものです。ジャックは、ウィルと同じく一般的な男性名で、男性そのものを指すこともあります。このような不思議な明かりの話は、世界中に存在します。



◎ジャックランタン

 もう一つは、けちなジャックというアイルランド及びスコットランドに伝わる話です。昔、怠け者だがずる賢い、ジャックという男がいました。彼は酒好きで、ある時のハロウィンも酒場で酒を飲んでいました。ジャックは、そこで悪魔と出会います。悪魔に魂を取られそうになったジャックは、「魂はやる。でも、最後に酒を1杯奢ってくれ」とお願いします。最後の願いぐらい叶えてやろうと、悪魔は1杯分の酒代に変身しますが、ジャックはすかさず悪魔を自分の財布に入れ、十字架を使って閉じ込めました。出られなくなった悪魔は、仕方なくジャックと「10年間ジャックの魂を取りに来ない」という約束を交わします。

その10年後ハロウィンに、ジャックは再び悪魔と出会います。ジャックは魂を渡すフリをして、悪魔に木の上のリンゴを取ってきてくれるよう頼みます。悪魔がリンゴの一つくらいなら取ってやろうと木に登ると、ジャックは素早くリンゴの木に十字架を刻みました。木から下りられなくなった悪魔は、とうとう「ジャックの魂を絶対に取りに来ない」ことを約束しました。

月日が流れ、ジャックは年をとり死にました。今まで散々な事をしてきたジャックは、当然天国にはいけません。仕方なく地獄の門をたたきますが、悪魔と交わした約束のせいで地獄からも拒絶されてしまいます。天国にも地獄にもいけなくなったジャックは、この世とあの世の狭間に取り残されてしまいます。ジャックは悪魔から地獄の石炭の欠片を貰い、それをしなびたカブの中に入れて作ったランタンを持って、一人さまよう事になりました。

これが、ジャックランタンの話です。どちらの話も数ある鬼火伝承の一つで、どちらかが絶対の起源というわけではないようです。もともとアイルランド人たちは、この話のようにカブ(ルタバガ)を使ったり、ポテトやピートでランタンを作っていました。アイルランド人がアメリカに移民した際、生産性の高いかぼちゃのランタンに変化しましたが、アイルランドでは今もカブでランタンを作っている様です。