ボクは33歳で家族を捨てた。


俗に言う離婚ってやつだ。


当時、付き合いのあったショップから


ポッカ1000kmのサードドライバー、


いわゆるオーナー枠での出場を打診されていた。


R33を自腹購入。


それにショップが約1.000万かけて改造。


雑誌でも有名なドライバーと、ショップのこれまた凄腕のドライバー、そこにいわば“交代要員“として、お声がかかった。


しかし、200万の実車をすぐ購入出来る資産などとても無かった。


故に、鈴鹿の国際レーシングコースを走る夢は閉ざされた。


それが悔しくて、ボクはしゃにむに働いた。


“次は40歳にポルシェに乗る“


という夢だった。


朝から夕方まで。その後、踊る方のクラブでフロントの大役を任され、朝の4時まで働き、また、朝の9時から仕事に出る、そんな毎日だった。

しかも、週末は、郊外の倉庫での仕分けのアルバイト。

実はそのアルバイトに出入りするボクを観察していた同じ建物の主の企業のカスタマーサービスの係長が、直々にスカウトに来られて、晴れて正社員になれたのだった。

実はその時、誰もが憧れ、しかし滅多に入れないJR東海のテレホンセンターのオペレーターをしていたのだ。

事業所の場所は秘密。分かりにくい場所。

暗唱番号を知らなければ入れない建物。

更なる厳重な警備。

そんな特殊な場所で働いていた。

いわばテレオペ業界のエリートだった。

そこからの引き抜き。

しかし、待遇は派遣から正社員。

迷いは無かった。

時は38歳。

まさかの正社員待遇だった。


40歳までにポルシェ。


後、一歩まで近づいた、かのように見えた。


しかし、世の中の仕組みはそうは甘くは無かった。

とある店で、一桁落ちの極上の911が出た。

距離も心配の要らない程乗られており、整備も完璧だった。

価格は約260万程。

ローンで買えない額では無い。


ボクは店に出向いて見積もりと審査を受けた。

結果、ローンは通る。

後は借りる先を探すのみ。

横に乗って試乗もした。


満を持して、給料振込で利用実績のある銀行へ出向いた。


しかし。。。。


就業してからまだ3年未満。

それだけではねられた。


結果、ローンは組めなくなり、話は流れてしまった。


40歳でポルシェ。


手のひらに乗ったのに、するりと逃げていった。


果たせなかった夢。


その後、そのポルシェ、すぐに売れてしまった。


まあ、オイル交換に10万出せるような身分じゃなかったし、色々現実を知るにつけ、あっさり諦めが付いた。


まあ、その後、50万のアルファロメオ156 で散々苦労するハメになるのだが。


眠っていると、時々、レム睡眠で覚醒し、夢か現実か分からない体験をする事がある。


だから、夢ばかり追いかけると、現実的に

金銭という追っ手が現れ、非常に痛い目に遭う。


アルファロメオ156 で懲りたはずなのに更にBMW  Z3 というまた派手な外車に手を出し、これは貰い事故で廃車。

泣くに泣けない過去を背負って今、生きている。


故、今はカブ。


1番気楽だ。


毎日磨いていたおかげで8年経った今も、前ブログに出てきた友達を追悼するためにやって来たライダーさんから、思わず『新車ですか?』とまで言わしめた。唯一、リアキャリアだけはサビだらけですが(笑)


人生40歳まで。


ポルシェを手に入れたら死ぬ。


そう決めてから見っともない人生をもう8年も生きてきた。


このまま、ボクは


生きていてもいいんでしょうか?


ふと、弱気になったりします。


いいんですよね‼️


もう一度就職して、好きなクルマ買って、いや、バイクでもいい。


もう一度だけ、花を咲かせたい。


例えそれが月下美人でも。


そう、一夜限りの美しさであったとしても。。。