そういうお店でのお話し。

昼間っから飲んで歌うのは気持ちいい。

不規則な休み。

憂さ晴らしに度々出て来た例の店に突撃。


迎えてくれたのは、インディーズのバンドでボーカルをやっている子だった。

軽く挨拶代わりに2、3曲当たり障りの無い歌を聴かせてもらった。

『上手い』

かなりの実力の持ち主である。


ボクはAI の『ストーリー』を歌わないかと持ち掛けた。

もちろんOK。


その時の気持ちを語っていたブログを見つけた。




正に歌い終えてマイクを置いた瞬間、危うく抱き合うところだった。

自画自賛。

失笑されたって構わない。

今まで、店の女の子達と、

『ロンリーチャップリン』とか、

『別れても好きな人』とか、

『愛が生まれた日』など、

色々デュエットして来たけど、

全くのレベチ。

こんなに感動した『セッション』は初めてだった。

原曲をなぞりながらもまるでライブかのように自在に操る旋律。

そして、あ、うん、の呼吸でハモる気持ち良さ。

デュエットじゃない。セッションだった。


それが縁で、彼女のバンドが出るライブにも出かけた。

出番は深夜1時過ぎ。

挨拶に行くも、あまりの緊張感に気押され、話は出来ず。

しかも、本番でまさかの音響トラブル。

不完全燃焼だった彼女を含めたメンバーは会場横の通路で泣き崩れていた。

声などかけられる状況では無い。


ボクはそっとその場を去り、遠くに停めてあったアルファロメオ156 に乗り込んで家路に着いた。


それからしばらくして、店を移籍した彼女からメールが入った。

いきなり、『今晩、来て』

まさかスケジュールが合うわけも無く、それきり彼女とは連絡は途絶えた。


『ホワイトベアー』と言うバンド名だった気がする。

SNSもやっていた。


今、どうしてるんだろ。。。


2人の歌声は、満席だった周りのお客様の全ての会話を止めたんだから。