皆さんは、JEPXという
「市場」をご存じでしょうか。
JEPXは「日本卸電力取引所」で、
日本唯一の電力の卸売り市場です。


安倍政権期の電力自由化により、
電気の小売りサービスが
自由化されました。
となれば、


「新たに発電所を建設し、
電気を発電し、消費者に
(送配電会社を通し)販売する」

というビジネスモデルが
成立したのかと思えば、
さにあらず。


多くの「新電力」は、
JEPXから電気を購入し、
それを「安値販売」することで、
既存の電力会社のシェアを
奪っていくという、
典型的なレント・シーキング
が成立したのです。


皆さんの中にも、「安さ」に
惹かれ、新電力を選んだ人も
少なくないのではないでしょうか。


但し、
新電力は(しつこいですが)
自ら電気を発電している
わけではありません。


あくまで、JEPXから
電気を調達し、消費者に
販売しているわけです。


ということは、JEPXの
電気の卸売価格が高騰すると、
途端に彼らのビジネスモデルは崩壊する。


【JEPX(日本卸電力取引所)
スポット市場システムプライス】
http://mtdata.jp/data_80.html#JEPX


図の通り、JEPXのシステムプライスは、
実はロシア・ウクライナ
戦争勃発前から高騰していました。


21年9月まではkWh10円程度
だったのが、一気に80円を目指した
わけで、半端ありませんよね
(現在は100円に達することもありますが)。


理由は、実はJEPXにおける
電力の八割は、旧一電
(東京電力ホールディングスなど)
により提供されているためです。


コロナ禍からの世界的な
経済回復過程を受け、LNGの
価格が高騰。旧一電各社は今後の
LNG調達に不安を抱き
(まっとうな不安でしたが)、
発電量を抑制したのです。


結果、
本来はあってはいけない、
「卸売市場で、電力の予測需要
が供給を上回ってしまう」
という事態になり、

顧客への電力供給を
義務付けられている
新電力は「高くても買わざるを得ない」
状況に追い込まれ、
スポット価格が高騰したのです。


もっとも、旧一電側からしてみれば、
「いや、そんなこと言っても、
将来的にLNG輸入が減少し、
発電できなくなったら、
批判されるのは俺達じゃないか」
ということにならざるを得ません。


スポット価格高騰により、
新電力は顧客への価格を
引き上げるか、もしくは「廃業」
という道を選ばざるを
得ませんでした。


別に、新電力が
参入したところで、新たな
付加価値が生まれるわけでは
ありません。

新電力は、既存の電力会社の
「所得のパイ」に割り込み、
安値戦略で所得を
奪っていたに過ぎません。


「新電力が参入したから、
電気を使おう」
などというユーザーは、
一人もいないでしょう。


というわけで、日本の
電力自由化は典型的な
レント・シーキングであり、
そしてレント・シーキングであるが故に
瓦解したのでございます。


問題は、この種の
「バカげたビジネスの仕組み」について、
日本人が無知であることです。


皆様、是非とも
安倍政権期の電力自由化の顛末と、
「今、我々が節電させられているのは、
菅内閣、安倍内閣の政策の結果である」

という真実を知らしめてください。





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2022・6・30
第418回「「誰」のせいで節電しなければならないのか?」










  



このまま政治に無関心だと



ゆっくり?


じわじわ?



かならず殺されますよ~物申す




 



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