菅総理大臣が

自民党総裁選挙に出馬しないことを表明。

高市早苗前総務大臣や
岸田文雄前政調会長に加え、
河野太郎規制改革相が出馬表明。

本校執筆時点で、
石破茂元幹事長が「出馬検討」。
下村博文政調会長が「仲間と検討」。

まさに「混沌」としてきた政局情勢ですが、
今回は「財政拡大」を明確に打ち出している
高市前総務相と岸田前政調会長に焦点を当て、
財政出動 対 財政出動
の政策、レトリックについて
検証してみたいと思います。

つまりは、「高市 対 岸田」です。



まずは、高市前総務相ですが、
「インフレ率2%を達成するまで、
PB黒字化目標凍結」
「自国通貨建ての国債を
発行している日本は財政破綻しない」
ことを明言しています。

この時点で70点を
差し上げたいところですが
(100点ではないのは、
PB目標が凍結であり、廃止ではないため)、
なぜか高市前総務相は
「粗利保証」「所得補償」「消費税廃止」等、
今、困窮している国民を救う
経済政策については言及していません。


無論、高市前総務相が主張する防災投資、
研究開発投資の拡大や、製造業の国内回帰、
中国への情報漏洩防止等については
全面的に賛成しますが、
なぜ「短期の対策」を口にしないのか、
不思議です。


逆に、岸田前政調会長は、
恐らくは未だに財政均衡論に
縛られているとは思います。


それでも、
「事業者に地域や業種を限定せず、
規模に応じた固定費を支援する」
「子育て世代への
住居費・教育費支援などで中間層を拡大し、
「令和版所得倍増」を目指す」
と、短期及び長期に
「国民を救う財政政策」を主張しています。


高市政策と岸田政策の
「良いとこどり」をすると、
「パーフェクト」になるという、
奇妙な状況になっているのです。






高市前総務相と岸田前政調会長が
「財政」に関する議論をしたとして、

双方に対する突込み。



まずは、高市前総務相に対しては、
「自国通貨建て国債を発行している
日本は財政破綻しないならば、
PB目標は廃止で構わないのではないのか。

また、現在、政府の失政により
困窮している国民を救うために、
消費税を廃止し、粗利保証等の
大胆な財政出動をしても、
インフレ率が高まらない以上、
問題ないのではないのか?


というよりも、
大胆な財政出動をすることで、
インフレ目標達成の時期が早まるのでは?
と、なります。

岸田前政調会長に対しては、
「短期の対策である地域・業態に限らない
固定費の補償は正しい政策であり、
長期的にも「令和の所得倍増」には
全面的に賛成するが、
財源はどうするんだ?」と
突っ込まれた際に、どのように返答するのか?
まさか、増税か。

また、そもそも
PB黒字化目標がある限り、
岸田氏が主張する
「正しい政策」は推進できない。
どのように整合性をとるつもりなのか?
でございます。

無論、自民党内の政治的な理由により、
「正しい貨幣観と国家観に基づく
政策を全面的に主張できない」という
事情があるのかもしれません。




とにかく緊縮財政を転換しない限り、
消費税廃止も、粗利保証や所得補償も、
防災投資強化も、研究開発投資の拡大も、
固定費補償も、令和の所得倍増も、
全て実現しないのです。


とにもかくにも、
緊縮財政を転換しなければならない。

そのためには「政治的事情」にも考慮します。



パーフェクトな政治家は、いない。
それでも、以前と比べれば、
財政拡大を主張する政治家が二人も、
自民党総裁選挙に出馬するのです。

これは、皆さんの「成果」です。
誇ってください。

岸田前政調会長は、
何しろ岸田派があるため、
確実に推薦人を確保します。

また、安倍前総理が
(予想通り)支持することを表明したため、
高市前総務相も推薦人問題を
クリアできるでしょう。

財政出動への競争を。
自民党総裁選挙はもちろん、
総選挙においても。

日本国ののど元に刺さった「毒針」である、
緊縮財政を転換できる、
過去最大の機会が到来したのです。


そういう意味で、
ポイントは岸田前政調会長が
「PB目標凍結(あるいは廃止)」に
踏み込めるかどうかだと思います。

注目してください。







以上、三橋先生のメルマガより


引用させていただきました。