鴨沂高校の図書館 -2ページ目

鴨沂高校の図書館

鴨沂高校が建替えられようとしています。校舎だけでなく、「鴨沂の自由」として大事にされてきた校風までもが壊されようとしています。

facebookページ「鴨沂高校の図書館」のブログ版として、マスコミや教育委員会が絶対に流さないような生の情報を発信していく所存です。

 一年に一度、如意ヶ嶽がうっすらと白く大の字に光る日があります。8170時。赤く燃えた前日の送り火の香りがまだ残る山中。先祖の霊を記した護摩木の消し炭には無病息災、厄除けのご利益があると言われ、それを拾うため多くの人が行き交います。今年は私もその中の一人として、如意ヶ嶽に入りました。送らねばならぬものがありました。

 

 鴨沂高校です。いや、旧制鴨沂高校と申しましょうか。もはや名前だけが残った鴨沂高校。

 

 校舎全面改築と名門校の復活、オリンピック選手の輩出を求めた同窓会全期が「新生鴨沂」と語るように。

 学校紹介パンフレットで「不易なる鴨沂の伝統復活」として進路実績を誇るように。

 在校生8割、市民約6600筆の署名が集まったことで、PTAから「これまでSNSを通じて、事実と異なる情報が拡散するなど、生徒の不安を増幅する動きもみられたところです。鴨沂高校PTAとしましては公的な社会教育関係団体であり、公正中立な立場から各班にはこうした騒動に生徒を巻き込むことのないよう、学校からの確かな情報に基づく冷静な対応」が呼びかけられ。

 食堂存続を求めた在校生に「君らは高校生なんだからもっとやるべきことがあるだろう」「あなたが適当に吠えたって何の解決にもならない」と生徒指導部長が言うような学校へと堕ちていきました。

 

 諸行無常という言葉があるように、山もあれば谷もあるのが歴史です。しかし、それを見る者によって、山か谷かは異なるもの。世の中の価値観すら、不変のものはありません。しかし、その変化をもたらす力が、内からのものなのか、外や上からのものなのかによっては、その歴史に大きな亀裂が生まれます。この5年間に鴨沂高校でおこなわれた改革も、鴨沂高校の歴史に断絶を生み出しています。歴史の経過や蓄積というものとは明らかに異なる過程でした。戦後に鴨沂高校で生み出された多くの行事や慣習は姿を消しました。新生鴨沂の名のもとに消されたという方が事実を反映しているでしょう。

 公式に「不易なる鴨沂の伝統復活」「名門校の復活」と語られますが、具体的なことは何も説明されていません。伝統とは一体何なのでしょうか。名門校とはいつの時代の何を指すのでしょうか。何をもって復活というのでしょうか。そもそも、不易な伝統などあるのでしょうか。府立第一高等女学校と戦後の鴨沂高校には、歴史的に大きな断絶があります。その時点でもう不易などとは言えないはず。名門校や伝統と言う際に、一括りに語るのは乱暴なのではないのでしょうか。

 

 エリック・ホブズボ-ムというイギリスの歴史学者が、『創られた伝統』という本の中で、短期間に生まれ、急速に確立される「伝統」があるとしています。その「創りだされた伝統」の説明が下記になります。

 

 

「創りだされた伝統」の特殊性とは、歴史的な過去との連続性がおおかた架空のものだということでもある。つまり、そうした伝統とは、新しい状況に直面した際古い状況に言及する形をとるか、あるいは半ば義務的な反復によって過去を築き上げるか、といった対応のことなのである。

 

 

 言いえて妙といいましょうか。鴨沂高校には学校として非常に長い歴史があります。伝統と言われた時に、その中身があやふやでも、善意の解釈がいかようにもできてしまいます。しかし、国語は大事にしたいもの。薄っぺらいリップサービスに踊ったとて、何が得られましょうか。名門校と言うのなら、言葉の中身を問う能力こそが進学してからものをいいます。

 

 

 選ばれるものの質は、選んだ者を写す鏡でもあります。それを実感した5年間でした。都合のいい歴史だけを選別し、戦後に積み重ねられてきた歴史の断絶を良しとする新しい鴨沂高校。

 

 平成29年の秋。食堂の署名が動き始める時期に「食堂がコンビニにされようとしているのはデマだ」というデマが流れました。ツイッターでは、「先生に聞いたらデマだと言っていた」という連絡も複数ありました。インスタグラムでは、「鴨沂高校の図書館が書いてることは全部デマだから信じるな」という画像まで出回る始末。後者は、その背後に大人の影が見え隠れするのも印象的でした。

 事実としては、平成28419日の新校舎工事議事録『第38回定例会議 工事打合せ記録』で「将来コンビニ形態に係る設備対応について」という文言が出ているにも関わらず、こうしたデマが出回りました。

 

 アメリカの心理学者GWオルポートは、『デマの心理学』の「デマをやり取りする動機」という項目で「人間の諸要求はデマの原動力である」と書いています。該当部分を引用してみましょう。

 

 

デマは、その話題が、それを聞いたり、またそれを傳えたりする人にとって重要さを持たないような場合には、決して流されることがない。というとき、そこではデマの動機となっている要素が注目されているのである。人間の諸要求はデマの原動力である。多くのゴシップやスキャンダルは性的興味によって説明され、われわれのよく聞く気味のわるい怪談は不安がそのかげの力であり、願望デマの底には希望や欲望があり、悪口や中傷は嫌悪によって起こされるのである。

 

 

 これは、1946年にアメリカで書かれたものです。ここ5年間、鴨沂高校で起こった様々な問題に絡み、心当たりのある方も多いことでしょう。府立高校初のコンビニ導入という願望と、コンビニになってほしくないという希望がうまく混ざり合い、デマが拡散されました。少し調べれば事実はすぐにわかったものを。伝統の復活などではなく、ただ進歩していないだけではないかと言わざるを得ない状況が、新生鴨沂にはありました。特に、PTAが呼びかけた「学校からの確かな情報」がデマだったという結果は、まさしく新生鴨沂を象徴する出来事でしょう。

 

 私の母校である鴨沂高校は亡くなりました。新しく生まれ変わったと宣伝されるように、大きな断絶を経て、御所の東にある新しく作られた校舎で新学期が始まるそうです。

 

演劇情報のシェアです。ご紹介するカイテイ舎は旧鴨沂高校演劇部で長年顧問を務めていた松本徹氏が演出を手がける劇団です。鴨沂出身者も多数在籍しています。

今回演じられる「アンティゴネ」を読みましたが、この5年間鴨沂に関わったことを思い出して、70年前から人間はあまり成長してないんだなぁとしみじみ感じた脚本でした。高校生は前売り500円と非常に安くなっています。本日の京都新聞夕刊にも掲載されたようです。ご興味のある方は、ぜひご予約を。

 

以下、カイテイ舎さんより

 

「アンティゴネ」の作者ブレヒトは、ドイツに生まれ、1933年にデンマークへ亡命します。第二次世界大戦後、東ベルリンに戻って書かれたのが「アンティゴネ」でした。戯曲の中にナチスドイツが想起される言動がちりばめられていますが、その言葉はナチスドイツだけで終わるほど短い射程ではありません。

例えば、戦況の悪化が知らされた時、暴君に付き従っていたコロス(長老)が暴君を非難しだします。コロスに対して「お前たちの戦争だ」と怒る暴君に、コロスは「あなたの戦争だ」と返します。暴君は「勝てばお前たちの戦争だったとなるだろう」と引きません。この言葉は、残念ながら、今も生きています。

カイテイ舎 第4回公演
「アンティゴネ」
ソフォクレス原作 ベルトルト・ブレヒト改作
【公演日時】
2018年8月17日(金) →19:00~
8月18日(土) →14:00~/18:30~
8月19日(日) →14:00~
■開場は開演の30分前です。 ■上演時間約120分
【会場】
人間座スタジオ(〒606-0865 京都府京都市左京区下鴨東高木町11)
http://ningenza.com/contact.php
【料金】
一般 前売2,000円/当日2,500円
25歳以下 前売1,500円/当日2,000円
高校生 前売 500円/当日 800円
※25歳以下の方は年齢がわかるものを、学生の方は学生証のご提示をお願いします
【キャスト】
伊藤彰久 伊藤彩里(カイテイ舎/gallop) じゅんのすけ つぼさかまりこ(演劇集団あしたかぜ) 畑中良太 コーネリアス・チャン(劇団Tiny Plants)
【スタッフ】
演出:松本 徹 照明:高松真魚 音響:藤崎沢美(Sカルごりら)・佐野竜介(京都西陣創造集団アノニム) 美術:村松常葉 宣伝・写真:津田壮章
【チケット予約】
mail:kaiteisya17@gmail.com
電話:090-9214-2346(松本)
Twitter:@kaiteisha
①お名前 ②観劇日時 ③チケット券種&枚数 ④連絡先 以上のご記入をお願いします。

 

このタイミングで半年遅れの「弁明書」 デイリーヤマザキ関係書類は「保有していない」との回答

 

 72日付けで京都府教育委員会より、デイリーヤマザキ関係書類の情報不開示決定に関する審査請求の弁明書が届きました。平成291212日に「デイリーヤマザキ関係書類が無いのはおかしい」という旨の審査請求書を送付してから半年以上経って、しかも、プロポーザル手続きで株式会社一番の運営するデイリーヤマザキが確定してからというタイミングで、A4サイズ2枚に満たない弁明書です。

 

 行政不服審査法では、この弁明書への反論書を書くことができるのですが、反論書は717日までに送るよう記載されています。半年以上待たせておいて、反論書は2週間以内という時点でフェアではありませんが、715日付けで反論書を送付しました。弁明書、反論書共に、全文を掲載しています。

 

 中身については、短い文章ながら、その時点で契約の無いデイリーヤマザキという一業者を食堂関係者に校長が引き合わせ、管理課職員が同席していたということを、公印付きの文書で認めました。その時、「デイリーヤマザキ関係者が食堂関係者に対し、図面の提示及び運営等の説明を行った」ということも認めています。しかしながら、デイリーヤマザキから「校長及び管理課職員は書類及び図面は受け取っておらず」関係文書は保有していないという結論です。

 

・「デイリーヤマザキ関係者が食堂関係者に対し、図面の提示及び運営等の説明を行った」のであれば、その前提となる情報提供を、デイリーヤマザキは学校側から事前に受けているのではないか?

・何故、数あるコンビニ業者の中からデイリーヤマザキを選んだのか?

以前、開示した平成28510日の工事議事録で、鴨沂高校高乗事務長が旧図書館棟1階について、「現在レイアウトは業者に依頼中です。」と発言しています。この業者名は?

 

などなど、多数の疑問が出てくる弁明書です。疑問点や、これまで蓄積してきたその根拠となる証拠をまとめて掲載していますので、ぜひご覧ください。

 

 学校への開示請求と京都府教育委員会の開示請求という2つの相手先への請求は、相手先ごとに別枠でしなければいけないという手続き上、弁明書が2つ届いたのですが、両方、同じ内容となりますので、片方のみ掲載しています。

 

 

審査請求の中身については、下記をご覧ください。

「今、食堂廃止問題に思う事。そして、平成30年夏以降も鴨沂にいる人へ知ってほしいこと。」

https://ameblo.jp/ja094070/entry-12357805768.html