ジョッシュハリスは90年代ドットコムブームの中を一躍先手を切って走り抜けた。インターネットがまだ普及する前から、その可能性と将来性に目をつけてはこの新しい媒体をどう人々の生活に浸透させていくか、またどう浸透していくかに長けた観点を持っていた彼はインターネットが視聴者を数えられるという点などに着目し、将来テレビに対抗できるメディアになるであろうと、99年の60ミニッツで予想していると公言までしている。
その当時ドットコムキッズの一人として瞬く間に巨万の富を手にした彼は時代の先駆者として「何かを起ることを予想してそれに向かえば、みんながそれにたどり着く前にそこに到着することが出来る」という考えのもと革新的なアイディアを打ち上げビジネスを大きく成長させては時の人としてメディアから注目されたのであるが、その彼が自ら会社をやめ、そこで得た巨万の富を幻にしてしまうかのような前代未聞の実験に身を乗り出すことに。
90年代にこんなことが起っただなんて、にわかには信じ難いのだが、実験とは地下で100人あまりを生活させ、食料や生活費を無料で提供する替わりに
そこで生活する人々の一挙一動をカメラで撮影するものであった。
地下に小さな社会を作り上げ、住民のベット一つ一つにカメラを設置。
数あるチャンネルを変えることによってお互いの生活の全てを見られる、そんな「監視し、監視される」生活環境をつくりだした。しかも、プライバシーのない生活をするというだけでなくこの生活をつづけていくには拷問も受けなければならない。
ジョッシュハリスはこうして拷問される住民のプライバシーのない生活と引き換えに映像の全てを手にし、彼らの生活にかかる費用全てを受け持つ契約を交わし、地下社会の実験を始める。
生活の全てを公開するだけあって、個人的に過激な内容だと思う。
けれどもこのドキュメンタリーで、私たちの生きるインターネットの世界はどう始まったのか、急速に変化する私たちの社会はどう変わって行くのだろうかと考えさせられるし、
今ある私たちの生活の在り方、ライフスタイルは昔生きていた人々には想像できなかったように、将来の世界は私たちの想像を超えたものであってもおかしくはないはず。環境によって変わる人、人が変える環境、そんなことに思いを巡らせながら、このドキュメンタリーはジョッシュハリスという一人の人間の生き方を目を向けることができる内容になっています。