院―――
2日前に紹介された病院を受診。5年ほど前に改築したらしくデザインはかなり近代的な病院だった。エントランスを入ると天井の高い空間にいろいろな音が響いている。外来受付で診察券の発行など、事務的なことを済ませ、受付の担当者が言った。
「診察の時間は14時頃になる予定ですが、どうなさいますか?」
5時間も病院で待つのは気が引けたが、早く呼ばれる可能性もあるとのことで、そのまま待つことにした。待つこと120分…意外と早く自分の番になった。

査―――
内科を受診し、医師に聴診器を当てられ、CTスキャンの撮影をすることになった。連日、ニュースでは福島第一原発が報じられていて、新聞の片隅に「CTスキャン1回被曝量 6.9ミリシーベルト」と書いてあったのが、なぜか頭をよぎった。撮影した画像を見て、約8㎝の腫瘍が肺や気管支を圧迫していることが分かった。腫瘍が悪性か良性かは、もっと詳しい検査が必要とのことで、また別の大学病院の呼吸器外科を紹介された。

安―――
父親に電話したが、仕事中なのか留守番電話になったので、母親に電話し胸に腫瘍ができていることを報告した。すると母親は予知夢で自分に癌ができる夢を見ていたらしい。もちろん2日前の診断結果は恋人以外誰も知らなかったので、すごい偶然の出来事だった。それはさておき、腫瘍ができてこれから自分がどうなってしまうのか分からない不安で、目からは涙がこぼれていた。
大学病院の予約が4日後に取れた。この時、なんとなく自分が入院することになる予感がしていた。
覚症状―――
ここ2週間ほど、「変な咳」が続いていた。
普通の咳とは違うのは自覚していたが、ただの風邪かなと思っていた。
言葉で表現するのは難しいが、狭い管を空気が勢いよくひゅーひゅー出ていく今までに経験したことのない感じ。

受診―――
入社2年目のくせに、年度末で連日深夜まで残業しなければならないほど多忙な毎日で、平日に病院へ行くことは自分の首を絞めることになる。恋人の勧めで、仕方なく土曜の夕方に近所の街医者へ行くことにした。内心、どうせ飲み薬を処方されて経過観察になるパターンだと思っていた。
内科を受診し、医師は聴診器を胸に当てて音を聞いていた。内科は何度も受診したことがあるが、医師の様子が素人目で見てもおかしかった。風邪だと思っていたのに、なぜかX線のレントゲンを撮ることになった。

断結果―――
X線の画像を見ながら医師が言った。
「縦隔に影が映っています。恐らく縦隔腫瘍と思われます。」
縦隔という耳慣れない言葉は、どうやら胸の当たりのことを意味するらしい。つまり、胸の当たりに何か腫瘍ができているということが分かった。腫瘍が悪性なのか良性なのかはもっと大きな病院でしか分からないとのことで、紹介状を渡された。
「できるだけ早く病院へ行ったほうがいいと思います。」
すごく引っかかる医師の発言に急きょ、休みをとって月曜朝一で紹介された病院を受診することにした。また仕事がたまると思うと、ため息がこぼれた。