本日は「泡盛の科学」の後編をお届けします。
専門的な説明で難易度が高いです
が、古酒の味の分析をじっくりするにあたっては、絶対に必要な知識です。
泡盛マイスター試験のためにも、このくらいの知識は不可欠ですので、是非覚えてください!
(1)泡盛の科学成分
・泡盛は、揮発性の差(沸点の差)によって醪(もろみ)成分を絞り込んで生成する酒。
・沸点の差によって蒸留の時間の経過で留出される成分は異なる。
蒸留前半に多く出る成分 :アルコール類、アルデヒド類、低沸点エステルなど
蒸留中ほぼ同じ割合で出る成分:有機酸類、高沸点エステルなど
蒸留後半に多く出る成分 :フルフラール。(←減圧蒸留では出にくい。常圧と減圧の味の違いの原因)
(2)主要成分
①エチル・アルコール(またはエタノール、あるいは単にアルコール)
・次の②と区別するために低級アルコールとも呼ぶ。
(「低級」とは、クラスが低いという意味で使われているのではなく、C原子が1個、2個と少ない意味で「低級」という。水に溶けやすい。)
・酒税法でいうアルコール分(度数)は、温度15℃のとき現容量1000㎖中に含まれるエチル・アルコールの容量(㎖)をいう。
②高級アルコール(フーゼル油)
・炭素数の多い(3-5個)アルコール。水に溶けにくくなる。
・フーゼル油成分が存在することによってはじめて酒らしい風味が形成される。いわば泡盛の基調的風味のモト。ただ、多量だと刺激臭が強くなってしまう。
③アセトアルデヒド
・低沸点化合物で蒸留直後に多く、貯蔵中に減少しやすい。
・この成分が多いとガス臭が強くなり好ましくない。
④有機酸
・酢酸、カプリン酸など。
⑤エステル
・発酵中に有機酸類とアルコール類が結合して生じる成分。泡盛に多い成分。
・低沸点エステル:果実のような芳香。ただ、多量だとセメダイン臭が強くなってしまう。
・高沸点エステル:無臭に近くなる。程良く溶解すれば味にコクをもたらす重要な成分。
⑥フルフラール
・適量であれば甘い香り、キャラメルのような香りを付与。多すぎると焦げ臭になってしまう。
・減圧蒸留酒には検出されない。そのため、減圧蒸留酒はライトタイプになる。
⑦フェノール化合物(フェルラ酸、4-VG、バニリン等)
・原料米に含まれるフェルラ酸が、蒸留過程の酸と熱により4-VG(4-ビニルグアヤコール)に変換され、熟成過程で酸化されバニリンに変換される。
・バニリンは濃度が濃いとバニラの香りになる(古酒の甘さのモト)。
⑧その他の成分
・硫黄系化合物
・脂肪酸
・ミネラル

(世界無形文化遺産登録を目指す登録推進キャラクター「あわもりこうじ君」)