「マルセロ殿、それでは当たりません。」

「うっせぇ、ゴリオ!ッッォラァ!」

「ゴリオではなく、ゴーリオです!ムンッ!」


 ドゴンッ!

 今日もいい天気ですねぇ。
 マルセロさんはまた吹っ飛ばされてますなぁ。
 それにしても、ゴリオは強いなぁ。マルセロさんも頑丈だなぁ。
 私はお腹いっぱいで眠いなぁ。



 ザッパーン!

「あ、ませお、ずるい!フィも入る!」


 トプンッ…

 今日は水浴びにはもってこいの日和ですねぇ。
 爺ったら、ちゃっかりスリープしてやがりますなぁ。
 それにしても、フィはいつもニコニコだなぁ。水浴び気持ちよさそうだなぁ。
 私はお腹いっぱいだぁ。



 ピュイー♪ピュルルルル♪

「あ、ミャタポだ。おかえり~♪」



 バサッバサッバサッ…


「ジュイ様、この先の丘陵を越えると星の大地です。ジュイ様?ジュイ…寝てしまわれたわ。」

 風が気持ちいいですねぇ。
 それにしても、ミヤタさんの声は綺麗だなぁ。
 そろそろ、星のだいち……、むにゃむにゃ。ボルシチの乗り心地、さいこぉー。
 お腹いっぱい、えへへ。





ーーーーーーーーーー
 どーも、7割寝ている私です。

 仲間が増えました!
 山の選ばれし民、ゴーリオさん(通称、ゴリオ)と、風の選ばれし民、ミャタポさん(通称、ミヤタさん)です。


 山の民は、大きな体躯と長い腕、そして毛深いのが特徴の巨人。
 ゴリオは山の民でも大きい方で、ちょうどマルセロさんを縦横1.5倍にしたくらいの大きさ。
 上半身のヘソから上以外が真っ黒な毛に覆われているので、遠くから見るとエイプ。
 近くから見ても結構エイプだけど、顔立ちと肌の色が人類寄りなので、クッソ毛深い人でギリギリいけるかも知れない。
 それと、ゴッツイ見た目からは想像できないほど器用で、着ている服や鎧は全て自作している。

 山の民のヒゲモジャお爺さんから、ゴリオと一緒に託された詩がある。

「山は座る。赤き魂、サクアモイの道とならん。」

 ナンノコッチャ?


 風の民は、とても華奢な身体をしている。
 身体的特徴は、腕というか指が異常に長くて、さらに脚がすごく長い。
 身長は私と同じくらいで、その3分の2が脚。指、腕、脚が全て膜でつながっているコウモリ人間。もちろん飛べます。
 飛んでる時以外は指が邪魔みたいで、いつも腕を組んでいる。その辺もコウモリっぽい。
 でも悔しいかな、顔は綺麗。黒目がちでパーツも人類に近い感じ。全体的に外国人モデル風。
 ちなみに、ミヤタさんは女性。5日に1食しか食べない超少食さん。だけど、よく足で物を掴む。

 風の民のガリガリお爺さんから、ミヤタさんと一緒に託された詩がある。

「風は渡る。白き魂、サクアモイの翼とならん。」

 Re:ナンノコッチャ?

 

 

 ガリガリお爺さんから「星の大地にサクアモイが祀られている」と、ッタタさんの歌にあった「星」に関係しそうな情報を得てしまった私達一行は、意味不明なこの旅の目的地を「星の大地」に設定した。

 てゆーか、半強制的にそうなった。



 私としては、一刻も早く南米基地に戻りたいんだけど、どういうわけかRPGっぽい流れになってしまう…。
 今のイベント状態は、こんな感じだろうか。

『3人の選ばれし民が仲間になった!彼らと共にサクアモイを祀る星の大地を目指せ!』


 改めて見ると、キワモノパーティーだ。
 ヴァンパイア♀、普通人間♂、魚人間♂、ゴリラ人間♂、コウモリ人間♀、ぬいぐるみ、タマころ。

 せっかくなので戦闘力順に並べ替えてみる。
 ゴリラ人間♂>>>コウモリ人間♀>>魚人間♂>>ぬいぐるみ=ヴァンパイア♀>>普通人間♂>>>>>タマころ。

 最近の人間♂は、役立たず感が半端ない。
 ついこの前までは役立たずの代名詞と言えば私だった。
 人間♂の役立たず度が急上昇したのには理由がある。

 ココの人間には何故かエネルギー弾(ココでは光波と呼ぶらしい)が効かない。
 動物には効くので無意味じゃないけど、人間♂はとても非力な事が分かった。
 単純な力比べだと子供のフィにすら負ける。
 まぁ、私もVマイクロム抜きだとゴミ未満の「クイーン・オブ・役立たず」なんすけどね。


 脱線ついでに3つの民の食性を少し。

 まずは水の民から。
 肉食。魚も動物も焼いて食べる。果物と野菜を食べさせたら、うまく消化できなかったようで、何日も苦しい思いをさせてしまった。

 次に山の民。
 草食。その辺に生えている葉っぱを生で食べたり、茹でて食べたり。お肉系は一切ダメ。特に焼ける匂いが苦手なようで、フィのご飯を作っている時はいつも風上に避難している。

 最後に風の民。
 果実食。生のまま果実を食べる。調理すらしない。
 ほとんど食べない風の民は、食べた果実の半分をサクアモイへの贈り物として川に流す習慣がある。