その頃、ポートD64内は大騒ぎだった。
ここからは私の中途半端なナレーション付きでお送りします。
「隊長!高速で接近する飛翔体が出現しました!」
最初に発見したのは、騎士団美女ランキングでトップ100に入っている女性オペレーターさん。
「なに!ミサイルか!?」
ちょびヒゲ隊長、その飛翔体とやらは私と知子(の乳)ですよ?
「熱源はありません。…あ、生体反応があります!2つです!」
一応私も2つ付いてますけど?あ、生体反応か…すんません。
「航空機か…。侵入角度によっては致し方なし。撃ち落とせ!」
だから私達だって!
撃ち落とすとか、まじ止めてください。
私は大丈夫でも知子が蒸発してしまいそうです。
「了解!……飛翔体、捕捉しました。モニターに拡大します。」
管制室の巨大モニターに、ババーン!と、絶叫するルサールカ(の乳)が映し出されました。
アイドルなのに映ってる2/3が乳ってどうなんでしょうね。可能ならば後でモザイク処理をお願いします。
「……あれ……、ViPのCHICO?」
ヒゲ隊長、正解。
ほとんど顔が映ってないのによく分かりましたね!
「そのようですね…。何か喋っていませんか?…唇の動きをキャプチャして、文字変換します。」
この女子は「できる娘」です。
「の・せ・て・く・だ・さ・い……乗せてください? 隊長!」
「ポーター出発保留! ViPの到着まで待機っ!」
管制室の2人は息ぴったり♪
だけどちょびヒゲ隊長さん、ここで右手をグーにして振り上げるのは変ですよ?それだと波DO砲とかぶっ放されそうで怖いです。
でもよかった、何とか間に合ったみたい。
「あのぉ…隊長ぉ…。2秒前に出発しちゃってますぅ…。」
管制室の隅でメガネ男子が申し訳なさそうに手を挙げた。
管制室内は熱いテンションから一転、君のせいで凍りついてしまった。どうするメガネ男子!?
解凍する気のない彼に代わって、できる女子のカウントダウンが管制室の静寂を叩き割った。
「飛翔体、エンゲージまで…、残り10……5、4、3、2…」
「ぜろ~☆」
カウント0ぴったりに響いたのは、CHICOのバカっぽい声でした!
管制室の丸い屋根を突き破りながら(突き破ってるのは私)でもキャラ設定を忘れない彼女は、アイドルの鑑だと思います!
ちなみに、屋根を突き破れたのはルサールカとのコンビ技です。
知子に唾液を連射してもらいながら突っ込みました。唾液の中に突っ込むのは最悪の気分!
私は突入直後に急制動を試みたけど、そんな簡単に止まれるわけもなく、ミサイルのごとくモニターに突っ込んでしまった。
衝撃で吹き飛んだ私の身体と繊維状物質が、管制室内を運動会の万国旗のようにデコレーションしている。
実は臓物とか色々吹き飛んでるんだけど、皆さん気付いていないようです。血が出ないとパッと見じゃ分からないものなんですね。
知子のことは、突っ込む前にちゃんとリリースしてあるので問題ない、と思う。
「突然申し訳ありません。自分は特2の井伊軍曹であります。準備中のポーターに乗せていただきたく参りました!」
なぜか知子は軍人然として言った。
さりげなく「修理費は特1のアーロン少佐に」と付け加えてた気がする。
「…軍曹、申し訳ない。最後の1機が60秒ほど前に出発してしまいました。」
ちょびヒゲ隊長は、頭をポリポリと掻きながら言った。
「そんな!南米基地には、ラ…任務中の仲間が居るんです!お願いしますっ!」
知子お得意の「乳攻め」が始まりましたよ。
たった一言で軍曹キャラは捨てたようです。
言い寄りながら隊長の手を掴むぅ~、からの、お願いします、でその手を胸に抱え込むぅ~。
最強コンボですね!ポーターが残ってれば。
てゆーか、いま「ラ」って言ったろ?
「お、おお、お願いされましても……あ!それよりも、お連れの方は大丈夫なんですか?」
手と目のやり場に困った隊長は、モニターに突き刺さる元私だった物体に「逃げ道」を見つけた。
「あれは大丈夫です!」
知子さんたらキッパリ言い切りましたねー。
いまの私、ただの肉塊にしか見えないですよ?
あえて言わせてもらうと、私はまだ全然大丈夫じゃないです。
かなり広範囲に吹っ飛んだみたいで、それぞれの部位が戻って来るのに時間が掛かってます。
最悪、腕とかガチで千切れてるかも知れません。
「そ、そう、ですか…。ですが、こちらのポートにはもう機がありません。」
「そこをなんとか!プライベート用でも構いません。お願いします!」
『まじか!ここまでバラバラに吹き飛んで、間に合いませんでした、は洒落にならないでしょ!』
知子、もっと乳をオープンにしていこう。お前には乳しかないだろ?
私が許す。脱いでいい。私なんて臓物晒してるんだから、乳なんてタダ同然だ!
色々と刺激を変えてお願いしても、ちょびヒゲ隊長の鼻息が荒くなるばかりで、ポーターの状況は改善する気配がなかった。
もう脱ぐしかない、と管制室内に居た大多数の男子が期待に胸を踊らせたタイミングで、再び部屋の隅のメガネ男子が手を挙げた。
「あのぉ…、方法あるかもしれないですぅ。」
この時の事を隊長は振り返ってこう言った。
「メガネ…死んでよし!」