「え!さくらって准尉なの?入ったばっかのさくらのが私より階級上って、ウケるんだけどww。」
けしからん乳さん、じゃなくて、けしからん乳をしている井伊さんが、机の上に座って笑っている。
ここは本部A棟3階、第2特務部内のとある一室。通称、給湯室。
この給湯室が、霧島リカ中尉の率いるViPに与えられている部屋だ。
いつもお菓子の匂いがするせいで給湯室と呼ばれているとか、いないとか。
そんなに急いで来たわけじゃないのに、中尉がまだ来てなかったのでみんなとティータイムを満喫中♪
今日はフィナンシェだ、やっほーぃ☆
「勝手に決められてたんですよ。階級の上下なんて、知らないですもん。」
私は准尉がどんなもんなのか、よく分かってない。准尉の准が「さんずい」じゃないってのにもさっき気づいたレベル。
「3番目に偉い。」
マリナさんが親指、人差し指、中指の三本を立てて言った。本人は3のつもりなんだろうけど、両手を出してるから6にしか見えない。
「さくらに敬語使うのマジやだー。」
中尉にも敬語を使った事がない井伊さんが言った。けしからん乳は今日も絶好調に揺れてますね。年取ったら垂れますよ!
「その乳、マジウザっす♪」
これは私。中指ではなく親指を立ててみせた。
「…同意。」
「裏山。」
「死ねばいい。」
こちらは順に、神河少尉、二階堂姉、二階堂妹。全員中指を立てています。
「遅くなってすまない。会議が長引いて…ん?どうした?」
やっと来た霧島中尉は、入るなり、机に座ったまま3人に中指を立てられている、けしからん乳に遭遇してしまい、状況が掴めないようです。
「さくにゃんがまたチコパイ弄りしたの。」
「…そうか。確かに知子は少しけしからんな。もっとビシッとした方が良い。」
あ、いま、レイナさんに言われて乳を一瞥した中尉が「けしからん」って言った!
いまの話の流れだと、それって「乳が」ですよね?
絶対そうですよね!?
「知子、いい加減に机から降りなさい!」
なんだ、けしからんのはそっちかぁ。
「では、次の任務を通達する!」
けしからん乳を大きく揺らしながら井伊さんが机から降りたのを確認した後、少しの間をおいて中尉が力強く宣言した。
中尉の言葉に全員の目つきが変わった。
いまの彼女達に先ほどまでの緩んだ空気は微塵も見られない。
「まず、私とリオンは、北欧の駐屯地に慰問ラ…応援に向かう。」
「次に、マリナとレイナは、小規模交戦が予測される南米基地に激励ラ…応援に行ってくれ。」
「最後に、知子とさくら。お前達はある場所に向かってくれ。詳細は端末に送信しておく!」
「海外遠征組のポーター使用許可は取ってある。ポーターゲートは1800に開く。遅れないように!」
「はっ!」
みんなカッコよく敬礼してるとこ悪いんだけど、ちょくちょく「ラ」って言ってたよね?