以前に書きましたが、私が特定の小説に興味を持つパターンは3つあります。
①.好きなジャンルである。
②.好きな作家である。
③.好きな映画やドラマの原作である。
自分ではこれだけだと思っていたのですが、先日まったく別の理由である小説に興味を持ちました。
その小説のタイトルは、「僕はもう憑かれたよ」といいます。作者は七尾与史という方で、ドラマにもなった「ドS刑事」の作者でもあります。ジャンルは……読んでいないので帯を見ての推測ですがミステリーのようです。
ミステリーというジャンルは嫌いではないのですが、取り立てて好きという訳でもありません。七尾さんも失礼ですがまったく存じ上げませんでした。もちろん、映画化もドラマ化もされていません。
興味を持った理由、それは「タイトルに惹かれた」からです。
本屋で見た時に、「疲れた」→「憑かれた」というのが面白い!とかウマい!と思った訳ではないのですが、なんとはなく気になってしまいました。それから数日後に行った図書館の新刊の中に、この本があったのです!
「気になっている本が思いがけず目の前に現れた時、それは運命に他ならない」という持論を持つ私が、その本を手に取るのに何のためらいもありませんでした。ページをめくり裏表紙に張られている帯を目にした私は、何故かこの本が3冊目で前作が2冊あると勘違いしてしまいました。たぶん、七尾氏の代表作の記載を前作と勘違いしたのでしょう。
ぼーっとしていたとしか思えませんが、今となっては今回紹介する作品に出合いえたので、あながち悪くはなかったんですけどねw
ということで、こんな感じで出会ったのが、この作品です。
◆「死亡フラグが立ちました!~凶器は…バナナの皮!?殺人事件~」◆
刊行日 : 2010年07月
出版社 : 宝島社
著 者 : 七尾 与史
この作品は、陣内というフリーライターが「死神」という伝説の殺し屋を追うコメディタッチのミステリーで、第8回「このミステリーがすごい!」大賞で「隠し玉」に選ばれています。
読んで思ったのは、「フィクション」とは何かということです。
辞書によるとフィクションとは、「架空の出来事・人物・舞台を背景に進められる物語」だそうです。つまり、そこに登場する人物がどんなにハチャメチャであっても問題ないのです。
いつからか私は物語の中に「リアル=ノンフィクション」を求めていました。あり得ない事を現実感たっぷりに描かれると、「あまりにご都合だ」とか「作り込みが甘すぎる」と批判的に考えていました。しかし、この作品に出合い、それが単に作品がつまらなかっただけだったと知りました。つまり、作品が面白ければそんな考えなど吹っ飛んでしまうということです。
この作品で使われているトリックはご都合主義でツッコミどころが満載です。しかし、それを超えた物語の疾走感やキャラクターの魅力があるのです。あり得ないだろうと思いつつ、どんどん物語に引き込んでいくのは七尾氏の筆力によるものでしょう。完全無欠といいきり、実際に完全無欠のキャラクター・本宮も何とも魅力的でした。あり得ないキャラクターを堂々と登場させてしまうところに爽快感を感じました。最近は欠点があるキャラクターが多いですからね(笑)。
また、複数のストーリーが次第に1つになっていく物語構成も秀逸でした。コメディ色の強い本宮・陣内パート、シリアスな南山宇美パート、全体を補完する御室恵介パート…と、まったく毛色の違うお話が計算しつくされた形で収斂していく様は、名人芸といってもいい出来でした。
ただ、残念だったのがエンディングです。私が今まで読んだ小説の中には、こんな形のエンディングはありませんでした。言うなれば、ジャンプの打ち切り漫画でよくある「行くぞ!」パターン。映画や漫画ではありがちですが小説では……正直なところ微妙でした。まぁ、好き嫌いの範疇かもしれませんけど。
ともかく、エンディング以外は物語としてクオリティが高いと思います。
続編もあるみたいなので、すぐに読もうと思っております。