東京街娼分布圖(復刻版) | お散歩日記

お散歩日記

路地裏、バラック、長屋、昭和の香りがする飲食街、遊郭赤線跡地、廃墟、古い町並み、山奥・・・・そんな場所を訪れては下手糞な写真を撮っております。

我が同友たる遊郭部氏より此度ご恵送賜った一冊。







遊郭部氏による入魂の復刻本第三弾「東京街娼分布圖」。戦後の混沌期、街頭に咲いた徒花「街娼」。帝都に於ける彼女(或は彼)等の生態を詳らかにしたルポ。原著は昭和二十七年発行のカストリ誌「人間探究」





「街娼の季節が来た」と言うカストリ誌特有の扇情的な出だしで始まる本文。ガイドブック代わりに冊子を懐中に忍ばせ、誘蛾灯に引き寄せられるが如く宵の街角へ繰り出した殿方も居たことであろう。こっそり盗み読み松果体を刺激された書生諸君も居たことであろう。





戦後の帝都に於ける街娼の発祥地とされる有楽町(ラクチョウ)を筆頭に、新橋(バシン)、上野(ノガミ)、浅草(エンコ)、渋谷(ブヤ)等々、帝都各地の街娼出没エリア、活動時間、人数、客層、誘客方法、年齢、服装、売春料金などを取材、と言うよりも寧ろ冷静に調査・観察し纏めている。





巻末に収録されているのは「当代街娼隠語豆辞典」。当時の街娼が使用していた所謂スラング集。「ヤキ」や「ショバ」など、やくざもの・愚連隊が使用しているそれと通ずる隠語が多い。面白いのが「バンをカケル」と言う街娼スラング、「通行の男に誘いの言葉をかけること」の意。実はこれは現在でも警察関係者が使用している言わば業界用語。「バンカケ」即ち「職務質問」の意である。