初対面のときはそろそろ近づき、親しみを感じると同時に話がはずむ。本との出会いもよく似ている。ある程度ページをめくるまでは、ゆっくり読んでいたが、いつの間にか本の内容に接近して読み進んでいた。タイトルも書き方も柔らかいが、人が生きやすくなるためのヒントがたくさん並んでいる。おそらく、途中で「ごちそうさま」と中休みがしたくなるだろう。そうなればしめたものだと思う。心の使い方について示唆されているとき、そうかもしれない、そうだったのだ、ひとつくらい実行してみようと考えていたら、自分の人生の変わり道にたどりついたところだといってもよい。こういう本は読み始めて半分くらいのところで、ぐんと本気になって読めるものだ。「逃げるのをやめた時、私たちはひとつ上のステージに立てる」ある文章の終りにこんなくくりもある。なかのタイトルだって『「もうイヤ!」を「これでいいのだ!」に変える魔法』とでてくれば、読まないわけにはいかない。精神科医は魔法をもっていることがわかった。イチローも天才バカボンのパパも登場する。読者も中心にいるのかもしれない。医者は目の前の読者を見ているものらしいから。