『レインツリーの国』(有川 浩∥著)を読みました

10年ぐらい前に衝撃を受けた1冊の本について、誰かと話し合いたいと思っていた主人公の伸行。
そして、ブログでその本についての感想を書き記していたひとみ。
そのブログを見つけた伸行が、もっとその本について話したい、という思いでひとみにメールしたのをきっかけに(HN:伸)、2人は文面を通してお互いの感性に惹かれていく…。
ここまでメールしあったら、やっぱ会って話したくなるっしょ!
となるわな。
会うことを提案する伸。
最初は返事をしぶるひとみだったが、ついに会うことを決心。
会う前にひとみが伸に聞いたことは、
『声は低い方か、高い方か?』
なぜそんなことを聞いたのか、読んだ時点ではさっぱりわからなかった。
あいにくの雨だがついに初対面を果たした2人。
メールでやりとりしていただけではわからないひとみの姿が、伸の目に焼きつけられる。
髪型はざっくりとただ切られただけの黒髪で、正直惜しい。
話を聞くときは相手の顔をやたらじっと見つめる。
お店はどこがいいかと聞くと、答えたのは『静かな場所』。
入ったお店で出たのは辛い料理(タイ料理だったっけ?)。
辛いものが苦手なひとみは料理を残してしまう。
映画を観に行けば、『洋画の字幕がいい』。
邦画は×。
吹替も×。
次の上映時間まで3時間もあっても、洋画の字幕にこだわりつづけたひとみ。
ここまで自己主張するなら辛いもの×も言えばいいのに…。
そして、帰りにひとみがエレベーターに乗ったら重量オーバーのブザーが鳴った。
だが、ひとみは降りることもせず平然と乗っている。
その姿に爆発した伸。
かなりの勢いで、みんなが見ている前で、ひとみを避難する。
そこで初めてひとみは、自分が乗ったエレベーターが重量オーバーだったことを知る。
そこで伸はひとみの本当の姿を知る。
頭を下げたひとみの耳には補聴器が。
ひとみは高校生の時に登山に行って滑落事故にあい、両耳の聴力を失ってしまったのだった。
伸にとったら不可解な今までの行動は、ひとみにとって、その時間を無事に過ごすための不可欠な条件だった。
健聴者と聴覚障がい者。
お互いを認めようとしながらも、それが空回りしたり、2人の間に複雑な葛藤がたくさん生まれてしまう。
耳が聴こえないなんて、聴こえる人になんてわかりっこない。
だが伸の方も、病気だった自分の父親に、手術の後遺症として自分の存在だけを忘れられたという辛い過去を持っていた。
その辛さは、父親に忘れられたことがない人にはわからない。
人の辛さなんて、どれが1番だなんてはかれない。
ある人にとったら大したことのないことでも、当事者にとってみたらそれは本当に頭の抱えることだったりする。
ただ、その辛さを理解して、支えてくれる人がいるということで、ずいぶん救われると思う。
ひとみは耳が聴こえないことを無理に隠すのをやめた。
髪は補聴器が見えるくらいバッサリ切った。
ショップの店員さんにやたらに話しかけられても、補聴器を指先し、断りを入れられるようにもなった。
伸行と出会う前と全然違う世界がそこにある。
初めから終わりまで一気に読んでしまいました

実は私自身も、右耳の聴力が弱い。神経に障害があるため補聴器は通用しない。左耳は正常だから、日常生活には大きな支障はないけど、子どもの頃は、もし左耳も聞こえなくなったら…と思うと怖くなることがあった。
だから余計に、この本を読みながら感情移入しまくってしまいました(笑)
この『レインツリーの国』は、彼女の『図書館戦争』シリーズの『図書館内乱』だったかな?その中に登場するみたいです

でも、あんだけブームになりながら『図書館戦争』シリーズを読む気にならなかったんだよなぁ

ブーム物に弱くて疎い私(笑)