今日は七月歌舞伎座の千秋楽でした。
今月は若手成長株の尾上右近丈が大活躍!
とても盛り上がった一か月でした。
特に注目して拝見したのは
「柳影澤蛍火」
この作品は、宇野信夫氏による歌舞伎脚本で昭和45年に初演され…東京では46年ぶりの上演です。
生類憐みの令で有名な五代将軍綱吉の時代を背景に、一介の浪人が老中にまで出世するアメリカンドリームのお話。
出世するために凡ゆる物を犠牲にし、這い上がった結果、最後に残ったものは何? が主題でしょうか?
昭和45年は、大阪万博が開催されたまさに日本の高度成長期(3年後にはオイルショックが起きました)、このような日本の時代背景にこの作品が創作されたことはとても納得のいくものと思いました。
さてさて、私は昼の部を、始め頃に2回、中盤に1回、そして前楽と千秋楽、拝見いたしました。
とても良いお席をいただき、感謝です。
この柳影澤蛍火、幕間を除くとちょうど3時間で、14年間の時間経過を演じる見応えのあるお舞台。
右近丈は、弥太郎の許嫁時代のおさめちゃんの時は、透き通った高い声で初々しく幸せに満ち満ちた雰囲気…
大奥に入ってからは、いかにも側室らしい厳かな雰囲気で声も低く演じていて見事に切り替えていらして素晴らしかったですね。
印象に残っている場面はほとんど全部ですが…笑
浪人時代の、海老蔵丈演じる弥太郎とおさめちゃんの仲睦まじい様子は、男雛女雛のお二人を何回見てもホッコリ(⌒▽⌒) こちらまで幸のお裾分け
四幕目の吉保とおさめの方の密会の場面
「冷たい手よのー」「変わりました。三年前の鳶が鳴いていた日から、おさめはこの世から消えました」辺りは、グッと胸にきました
また、おさめの方が吉保にイヤミを言う言い回し…ブラックな雰囲気が小気味好く…
最後の心中の場面
「おさめは昔の弥太郎さんと一緒に死にとうございます…」
吉保の「最後に残ったのは、女の心、女の情…」
ここがポイントの台詞。
最後の海老蔵丈の鬼気迫る演技はさすがでした。
特に、前楽と千秋楽はさらにパワーアップして凄い!
劇場内の空気が一つになった瞬間でした。
私は意味も無く涙涙が頬を伝っておりました…
詰まるところ、おさめの方がこのお舞台を支えていたような気がいたしました。
難しい大役をされた右近丈!もはや若手とは思えない存在感で舞台の雰囲気を醸し出して引っ張っていらっしゃいましたね。
本当にこれからが楽しみな役者さんです。
その他、護持院隆光の猿之助丈は申し分ない安定感のある演技…素晴らしいの一言。
桂昌院の東蔵丈…演技を魅入っておりましたら、中盤15日に人間国宝に指定され…感動いたしました。
心よりお祝い申し上げます。
その他、全ての役者さまが本当に素晴らしく私にとって思い出深い作品となりました。
胸の中のアルバムにしっかり焼き付けておきました!
また、流星を七夕に拝見出来たのもとても良き思い出となり演目のアレンジに感謝!
出演者の皆様、関係者の皆様、一か月お疲れ様でございました&ありがとうございました
本当に、素晴らしい舞台を楽しませていただきまして幸せなサンドです。