ドラゴン厠
「お願い！！
最近、いたずらによる故障や落書が増えています。修理費は、市民の貴重な税金でまかなわれています。
マナーを守り、施設を清潔に保つようご使用下さい。」
市の名前のところはモザイク処理しておきましたが、市役所の「環境部 環境管理課」作成の貼り紙です。
イメージ的には悪い単語の強調には赤を、そしてその反対の意味合いの単語には青を持ってきている。そして市が作成しただけあって、「修理費は市民の貴重な税金でまかなわれています」と市民の痛いところを付いてくる。
ちなみに「修理費」「税金」の単語も赤文字だ。
結局吐いた唾は自分のところに返ってくるから、いたずらなんてするなと。
さすがに市の管理しているトイレだけあって、言う事も違うね。
「施設を清潔に保つよう」なんてセリフは普通の施設のトイレでは見かけないもの。
でもね、なんかこう心が籠もってないというか、顔が見えないよね。
小さな公衆トイレの管理側とか、掃除する人が書いたものとかならともかく、なんだかこれは定例文で固めただけに思える。
どちからかと言うと反感さえ感じかねない。
唯一感じても、一番上の「お願い！！」のところだ。
そのすぐ後に「止めてちょーだい！！」とか書かれていたら絶賛しました。
さて、そんな貼り紙が貼られていた厠。
匠の技がほどこされてあります。しゃれてます。開放感さえ感じます。トイレに一番似合わない言葉、「おおっぴら」という言葉がよく似合う。
おや？何か手洗い場にいますね。
ドラゴンです。
ドラゴン厠です。
ここはとある島なんだけど、島自体に龍にまつわる話があるのでこんなところに龍の細工が施されていたりする。さすが市が管理するだけある。
貼り紙には落書がどうのこうのと書かれていたけど、別に個室内に落書は見受けられなかったし、この龍にも眉毛が書かれていたりはしない。
開かれた龍の口の喉奥にガムが詰め込まれていたりもしていなかった。
さてそんな島内。
こんな親切な貼り紙、急滑降を思わせるような矢印に誘われるまま進むと・・・・・・。
こんちは、龍です。
トイレの柱になかなかの作品の木彫りの龍の頭があったりする。
どこか茶目っ気すら感じる顔つき。
「今日は大なん？小なん？どっちなん？見せてぇな。嘘、嘘。」
なんて言っているかのよう（気のせい）。
何気に柱に腕の線などが彫られているのも心憎い趣向。
元々龍は水関係の神様でもあるし、まんざらトイレと関係なくもないんだけどね。「水流せ」って貼り紙も今までよく見てきたし。
物申さず龍が「水流し忘れんなよ。」とも言っているかのよう。
「置き捨て御免したら尻噛むぞ！」と。
さてそんな龍だけど、これだけはなくて・・・・・・。
また手洗い場には、えらい間の抜けた顔の龍がいたりする。
もうなんだか冗談みたいな顔してる。
別に笑わかせようとしているわけじゃないよね。
「紙ちゃんとあった？ウォシュレットの代わりでもしよっか？」とでも言っているかの如く、親しみ感すら湧く。かわいい奴。
これでね、便器まで龍だと面白かった。
全体的に便器が龍の口になっていたり・・・、ってバチがあたる話だ。
別にトイレの壁ならいいって話でもないけど、こうゆう洒落た像なんかには、やはり落書なんてしてほしくないな。出来るだけ無駄なお金は使わせないようにしましょう。税金だから。
別に納める側だけの話じゃないです。
湘南、とある島内にて
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