腰痛の炎症が治まるまで、1週間は安静にしてます。
見るだけは出来るんで、コメントくださった方のお返事は
来週になります。ごめーん。
BLではないですが、良い読み物なのでご紹介します。
前回「ハンニバル」の感想を書きましたが、羊たちの沈黙の7年後からの物語だった。
今回のハンニバル・ライジングはハンニバル・レクターの少年期から青年期に掛けての小説です。
この「ハンニバル・ライジング」は酷評も多いのだけど、理由として「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター像に固執している人には、この少年、青年期は納得いかないのでしょう。
「羊たち…」では、レクターの発言、行動は他の目線からの描写で書かれていて、読者にすると神がかりに見え、崇高な存在と捕らえている人も多いと思う。
しかし、「ハンニバル」や「ハンニバル・ライジング」は題材に”ハンニバル”とつくように、レクター自身の行動や思考で進んでいく小説なので、それは無謀でしょ~とか、普通の人と同じことも考えるんだ~とか見えるんで、羊たち…での、レクターファンは納得いかないのかもと思う。
私にとっては、まったくレクターのイメージの崩壊なんてことは、これっぽちも思わなかったです。
この「ハンニバル・ライジング」は、まだ、確立できていない弱さを持ったレクターがでてきて嬉しく感じたほどでした。
他の人のレビューを見ると、幼いころの戦争体験のトラウマ的なものが理由なんて、お粗末過ぎる~と多いのですが、でも、ちょっと違うと思うんだよな。
もともとあったものと、きっかけになった体験の2つが合わさった事によって怪物ハンニバル・レクターが浮上し始めたのだと思う。
叔父のロベール・レクターがハンニバルに「われわれの家系は、普通人のそれとはいささか異なるのだ、ハンニバル」他、もろもろ意味深な事を話すところがあるんだけど、このことは、はっきりしたくないみたいで、これ以後でてこないんだけど、気になるよね。
同じ家系でロベール・レクターは、人格が形成される時期にひどい体験もしなかったし、愛し愛される人が側にいたから、人格者として人生を終えたのかなとか思ったりもした。
結して悲惨な体験のみでハンニバル・レクターが生まれたのでは無いのです。
それでも、ハンニバルの中には人を殺めたりする残忍な部分以外に、まだ幼かった真っ白だった頃に戻れるスペースが心というか脳というか彼の中にあったと思うんだけど、グルータスの最後のあがきの言葉で、認めたくない事実を知らされるんだよね・・・そして、最後の最後の拠り所の紫夫人(なんと日本人が出てきますよ)の拒絶で・・・たぶんスペースが0%になっちゃったんだろうなと思う。
このスペースには、愛とか思いやりとか信頼とか…そんなものが入るスペース。
紫夫人は、一行だけの「さようなら」の手紙だけで日本に帰ってしまった。
でも、ハンニバルは悲しくないのね。
だって0%になっちゃったから。
先に、「怪物ハンニバル・レクターが浮上し始めたのだと思う。」と書いたけど、この0%になっちゃったときに「怪物ハンニバル・レクターの誕生」となったと思う。
そして、ハンニバル・レクターは一人アメリカの地へ。
このハンニバル・ライジングは、ガッカリしたと言う人も多々みかけるのですが、作品に対してと言うより、ハンニバル・レクター氏に持っているイメージが違った為のものだと思う。
私的には、「ライジング」「羊たち」「ハンニバル」と違うレクターを見られて
大いに満足してます。
と言うか、理想的です。
だって、もし「羊たち…」の悪のトップに君臨し続ける人物をもとめるなら、オーメンのような本当の悪魔ものを見るもの。
私は、この「ハンニバル・ライジング」大好きです!
ありがとうトマス・ハリス!
トマス・ハリスのレッド・ドラゴンは次に読む予定です。
次は、主役がまったく違うみたいなので、気持ちをリセットして作品を楽しみたいと思っています。
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