恒例のアトガキ。
終わった!楽しかった!
スタンダールの「赤と黒」が原作となりました。
最初朗読劇やるっていう企画だったから文学作品を探していて、こうなりました(笑)
でも、読んでいて主人公の人間であること(ブレブレな思考)とかが面白く。
彼の人生を描きたいと思って、これに決めました。
朱と煤。あかとくろ。朱禰と煤
色々とオリジナル設定でした。
先ず、明治時代中期。裁判の黎明期に時代設定。
和製の音楽や物語をやりたい、という理由が一番かも。
煤は、裏設定ではあるけど「シンデレラストーリー」だっつって、「灰かぶり」から「煤かぶり」
主人公は原作のジュリヤンよりもスタンダール自身に近づけたという感じです。
二律背反な人生。本当に人間らしい、弱い人生。そして僕自分に近いと感じた人生。
それを表現するのに、影。もうひとりの自分。師匠の鴻上さんの言う「なりたい自分」
時に自分を導く自分。時に自分を殺す自分。
色盲の設定は、大学時代の色弱の先輩や、舞台「弱虫ペダル」で一緒の西田シャトナーさんとのお話から。彼らの見ている風景というものに、ある種憧れている自分がいました。
そういう世界を描くことは、凄く前から構想があったのでちょっとうれしい。
取材も重ねました。
あ、でも白黒は、あくまで”色の無い世界”ということです。
実際の全色盲でも色は感じられます。いや、なんていうか、語ると長いので割愛。
というか、上記の設定は、僕の作品の根底に流れる、あるテーマを物語ることに全て集約。
それは前回の「黎明浪漫譚」でも一緒。
先輩の演出家の板垣さんに言われたことでもあります。そうだなぁ・・・と自分で納得。
これからも自分の語る物語は、そのテーマとの戦いになるんだろう。とか自己分析。
脱線。
風汰(フーケ)の存在はお客様の解釈に任せますが。僕的には死んでます。
有朋に殺された後、亡霊となっています。うーん、ファンタジー(笑)
エムキチビートは一応ちょっとだけファンタジーをやる劇団です。
彼の衣裳の滲みは全て血の滲み、という設定。
最後の夫人と風汰のシーン、彼の声が聞こえていたのかどうかは、曖昧にしています。
橙子(エリザ)も半分はオリジナル設定。(夫人に手紙書かせたりとか)等身大に好きなキャラクターです。
朱禰夫人(ルイーズ)と東堂(レナール)。ふたりはちゃんと愛し合っていたと思います。
ただ、煤との愛の形が違う。
煤は母親を求めて、朱禰は母性として子供を求めていたことがつながり合った。演出はそい言っていました。
ちゃんと恋愛してたのは、実は碧の方だったりします。
煤を愛する女性には全て名前に色を付けています。
ええ、実は紫子も愛だと思います。憎悪とか、嫉妬とか。それが煤に向いていないのだけど、煤に向いている愛。
舞台は全て裁判所に纏わるお話にしたく。
裁判所に居る人々が追憶する物語。
だから最後のM1リプライズは、そのまま、物語を通り過ぎたそのままの衣裳でやりました。
彼らが見守る裁判にしたかった。個人的に一番好きなのは三条斗真。
初のミュージカルとなりました。岩崎廉さんの力を借りて。音劇。
自分としては、憧れであったミュージカル演出。胸を借りるつもりで脚本を書き、演出を付けました。
「アンナ・カレーニナ」「StarS」「カルメン」「アルジャーノンに花束を」など。一流のミュージカルの現場を経て。自分の信じる事をぶつけた次第。劇場入りのスケジュールなど大分無理があり、スタッフの皆様にご無理をさせてしまいましたが。
やってよかった。出演者、スタッフ、僕自身。何かつながればそれは幸せです。
元吉拝