解説ワイド 高市政権と統一協会
首相自身の癒着 証拠多数 被害救済・根絶へ徹底解明必須
しんぶん赤旗 2026年6月9日
東京高裁が統一協会(世界平和統一家庭連合)に解散を命じる決定を出してから3カ月が過ぎました。協会は1960年代から自民党と癒着し、その勢力を拡大してきました。安倍晋三元首相襲撃事件後、自民党はその関係を解消すると説明してきました。では現在の高市早苗政権は本当に関係を断ち切っているのか―。
高市氏が統一協会との関係について初めて言及したのは、第2次岸田改造内閣で経済安保担当相に就任した直後の記者会見(2022年8月10日)です。会見では、協会系の月刊誌『ビューポイント』(01年4月号)に、対談記事が掲載されていたと認めました。ただ「統一協会と何らかの関わりのある本だということも知りませんでした」と釈明しています。
22年8月14日には、X(旧ツイッター)にこんな投稿をしています。「旧統一教会との接点の有無については、アンケートも多数届いており、政調会長在任中から徹底的に調べていました。2006年にシステム改修した事務所のパソコンは、各種情報が細かく記録できます。選挙応援無し。行事出席無し。金銭のやり取り無し。祝電も当事務所が手配した記録は無しでした」
金銭もやり取り
この説明は虚偽ばかりでした。「しんぶん赤旗」日曜版(23年3月19日号)は、高市氏が初当選した1993年から2001年にかけて少なくとも5回(上下連載を含めると6回)、統一協会の教祖文鮮明が創刊した日刊紙「世界日報」に登場していたことを明らかにしました。
高市氏は今年3月3日の衆院予算委員会で、日本共産党の辰巳孝太郎議員の質問に、統一協会と「関係がある新聞だと知って取材を受けたわけではない」と答弁しています。しかし全国霊感商法対策弁護士連絡会の被害集計によると、高市氏が初当選した1993年は1年間の被害金額が約122億円、相談件数が2153件で、社会問題になっていました。前年には日本の芸能人、著名人がソウルで統一協会の集団結婚に参加するなど、メディアでも大きく取り上げられています。「知らなかった」というのは、あまりにも疑問が残ります。
「金銭のやり取り無し。祝電も当事務所が手配した記録は無し」という釈明についても虚偽の疑いが突きつけられています。「赤旗」日曜版(2022年9月25日号)は、19年に大阪市で開かれた高市氏の政治資金パーティーで、統一協会の関連団体である「世界平和連合奈良県連合会」が計4万円分のパーティー券を購入したことを明らかにしました。関係者によると、同連合の名義で「2回、計4万円を振り込んだと聞いている」といいます。高市事務所は「その団体からの入金はなかった」と日曜版編集部に回答しています。
しかし、高市氏の首相就任後、『週刊文春』(2月5日号)は、高市事務所の内部資料を入手したとして、19年に「世界平和連合奈良県連合会」が同氏のパーティー券を計4万円購入した記録があると報道。同誌は12年にも「世界平和連合」を紹介者として協会関係者ら3氏が2万円ずつ、計6万円購入したと指摘しました。この内容は、「赤旗」日曜版も同じ内部資料を入手して確認しています。
同団体と高市氏側の関係はパーティー券購入だけではありません。「赤旗」日曜版が入手した高市事務所の内部資料によると、世界平和連合奈良県連合会から行事案内を複数回うけ、出席はしなかったものの、メッセージを送った記録があるといいます。これも高市氏の「祝電」を事務所が手配した記録はない、という説明を覆す内容です。
TM報告に32回
高市氏との関係を示す内部文書はほかにもあります。統一協会韓国本部の内部文書「TM特別報告」です。「TM」とは「True Mother(真〈まこと〉の母)」の意味であり、文鮮明の妻である韓鶴子総裁をさします。つまり、韓総裁への業務報告です。
同文書では、日本協会の幹部らが自民党総裁選を巡る情勢を細かく報告しています。21年の総裁選では、立候補していた高市氏の名前も32回登場していました。このなかで徳野英治・日本協会会長(当時)は、安倍晋三元首相が保守的、反共的な国家観、世界観を持ち「(統一協会と)政治信条が近いという理由から、高市早苗元総務相をかなり熱心に支援しています」と報告。「高市氏の後援会と私たちが親しい関係にあります」とも強調していました。
また安倍氏が高市氏を強く応援するあまり自民党議員から「反発が出始め」ていると分析。その上で、「安倍元首相が私たちに近い存在であるという観点から見れば、高市氏が自民党総裁になることが、天の最大の願いと解釈することもできます」としています。
そもそも韓国に本部を置く宗教団体が外国にいる指導者に、日本の政権人事を逐一報告していること自体が異様です。本来なら高市氏は、内政干渉にあたると怒ってよい内容です。ところが高市氏はあくまでもTM特別報告を「出所不明の文書だ」として無視を続けています。そのような態度を取っているのは、高市氏だけでなく、現政権の幹部にかかわる記述が多数あることも無関係ではないでしょう。
政権の幹部にも
その一人が、参院奈良県選挙区選出の佐藤啓内閣官房副長官です。TM特別報告では安倍氏銃撃事件が起きた22年7月8日に、統一協会が佐藤氏の選挙支援をしていた様子が記されています。協会はこの日午前10時から佐藤氏の応援集会を開催。佐藤氏本人は「大和西大寺駅前での安倍元総理の応援演説があり来られず、夫人が代わりに来て奈良教会で応援集会を行いました」としています。
奈良教会での集会終了後、一部の信者は応援演説に参加し、残りは電話かけをしていました。その最中に安倍氏が銃撃されたという報告が入ってきた、としています。佐藤氏は参院予算委員会(3月16日)で、妻が応援集会に参加したのは事実だと認めています。
もう一人、TM特別報告にたびたび登場する政権の重要人物がいます。萩生田光一自民党幹事長代行です。菅義偉政権が誕生する際には、徳野氏が「もし萩生田官房長官が実現すれば、私の(渉外などの)仕事も非常にスムーズに進めることができ、天の摂理(協会の政治工作)にとって大きな助けとなるだろう」と報告していました。
統一協会が萩生田氏を推すのは、「これまで5回、安倍首相と会いました。すべての面談を仲介してくれた」と、現職首相との間をつないだという実績があったからです。萩生田氏は裏金づくりで要職を外れ、協会との癒着も問題になっていました。にもかかわらず高市氏は幹事長代行に起用し復権させました。
TM特別報告には、高市氏、安倍元首相をはじめ50人以上の国会議員経験者の名前が記載されています。このうち今年2月の総選挙で自民党に公認された候補者のうち28人が、統一協会と関係ある議員として紹介されていることが「赤旗」の調べで分かっています。このように高市政権・自民党と統一協会との癒着は根が深く、いまだ解消したとはいえない状況です。
今後、被害救済のため政治、行政が役割を果たさなければならない場面も多く出てきます。高市氏や自民党議員らがどんなに関係を否定しようとも、協会側は支援してきた「証拠」を握っています。もしも、それらを「公開する」と言われたら、高市氏らは協会に対して断固たる態度をとれるのでしょうか。真に被害者を救済し、同じような被害を二度と繰り返さないためにも、癒着を徹底的に解明し、反省することこそが高市政権と自民党に求められています。(三浦誠)
