第一章 新しい舞台~逃げ出すか戦うか
・スタートは無い無い尽くしの環境と不足な自分の能力・経験
ひなびた単線の線路を1時間電車に乗ってやっと着いた無人駅で降車した桜庭の目に入ってきたのはあたり一面に広がったタバコ畑だった。
千葉県の片田舎に有るハートロード結婚式場の支配人として赴任することとなった桜庭は、まず人口が数千人しかいないだろう、この寂れた片田舎町に降り立ってはげしい心の葛藤を覚えていた。
「俺はもしかしたら とんでもないところに来てしまったのかも知れない。」
駅前から続く細い県道を歩いてゆくと すでに営業をやめ、つぶれたらしいガソリンスタンドが目に入ってきた。地図を片手に目的の結婚式場を探してゆくが、だんだん胸騒ぎがしてきた。道路の右手に牧野祭典という看板が目に入ってきた。葬儀屋だった。
「まさか、、、、」桜庭の直感は的中した。
道端の葬儀屋の角を右に曲がると、目ざすハートロード結婚式場が現れた。
「まさか 葬儀屋のすぐ隣だなんて。」
葬儀屋の建物の陰に隠れて 道路を通る車からはハートロード結婚式場が見えるか見えないかだった。
しかも ハートロード結婚式場の周囲は住宅で囲まれるような街のつくりになっていて、宴会等で騒いだらすぐに近所からクレームが来る、そんな密集した構造になっていた。しかも入り口に葬儀屋である。
「俺は此処に何をしに来たんだろう。」
そんな、感嘆を通り超えた絶望に近い心の叫びが桜庭の中で沸きあがっていた。
続く
二人の乞食の話
昔インドのカルカッタに一人の少年がいました。
彼は裕福な家庭の末っ子で、何の苦労もなく育ちましたが大変感受性の豊かな子でいつも宇宙や自然のことに思いをめぐらせていました。
あるとき 父親とカルカッタの繁華街を歩いているときのことです。
町には繁華街といえども乞食が道端にあふれており、少年が通り過ぎると物乞いをしました。
好奇心の旺盛な少年はついつい年老いた乞食に声をかけました。
「おじいさん、どうしてそんなに困っているの。」
「どうしてって、家族もないし家もないんでさ。飢饉が来て
収穫が全部だめになってさ、この有様でございます」
今にも死にそうなしわしわで干からびた顔を見ると、少年はかわいそうになって、父親に何か食べ物を上げようといいました。
そのときです。
後ろからやってきたお坊さんらしき人が、自分のもっているお椀をこのこじきに上げていいました。
「何もないのも幸せですよ。」
まだ若い感じのお坊さんをみて、少年は聞きました。
「お坊さんはどうして困ってないのですか」
「困っている人を助けてあげようと思っているからですよ」
少年からすると、このお坊さんもさっきの乞食も、同じ乞食に変わりないように思えたのだ。
このときのお坊さんの一言が少年の心の中に染み渡った。
少年の名前はタゴールといった。
やがて少年は大きくなって詩人になった。
多くの人に感動を与え、平和を与えるために。
タゴール インドの詩人 アジア初めてのノーベル文学賞受賞
http://www.b-family.org/public_html/omoi/017/tagoredoc.htm#birth


