Amazon Primeでペンタゴン・ペーパーズを見た。

トム・ハンクス、メリル・ストリープ主演、スピルバーグ監督というベテランのチームで作られた作品。

ベトナム戦争を記録した国家機密文書の内容をワシントン・ポストに勤めるジャーナリスト達が政府からの圧力に立ち向かい、国民のために記事にしていくという実話。

文書の中身は、「もともと負け戦とわかっていながら、ベトナム戦争をしかけた」とか。「その間大勢の若者を戦地に送り込んだ」とか。「戦争に負けた大統領とレッテルを貼られない為にケネディやジョンソンまでもがこの隠蔽に関わっている」などなど国民からしたらかなりショッキングな内容。

この映画を見るだけで、1971年当時政府とマスコミのドロドロした関係が見えてくる。当時の大統領ニクソンの肉声が度々劇中に流れるが、現大統領トランプをイメージさせる。おそらくこれは監督の意図してのことだと思う。

スピルバーグは撮影中の他の映画をほったらかしてでも、この映画を急いで完成させたかったらしい。トランプ政権の今こそ国民に見てほしかった映画とも言える。

また、作中に登場する女性キャラクターがとても印象的。主人公であるワシントン・ポストの女社長はもちろん、トムハンクス演じるベンの妻、男性に一人混ざって仕事する女性記者、文書のコピーを新聞社に持ち込むヒッピーの女性などなど。これもまた、トランプに敗れ、女性初の大統領になりそこねたヒラリー・クリントンを思わせ、女性の内なるパワーを主張してるかのように思えた。

最後に最高裁判所の判事のセリフ。
「報道が仕えるべきは国民で統治者ではない」
報道の自由が叫ばれる前は、政府の為のねじ曲げられた真実が当たり前に報道されていたんだと思い知らされる。

民間が政府に勝利するとってもすがすがしい映画。また歴史の裏に映画制作者の思惑や視聴者へのメッセージが見えてくる作品。