復活の夜


 アンドレイとラウラはソファーに座って一緒にテレビを見ていた。
 つい先ほどまでラウラは死人だったのに、あっという間に何気ない日常に戻った。
 彼等が見ていたのは、セクシーな格好をした女性達が金持ちの男性にアプローチをかけ、彼から選ばれた女性が賞金をもらえるという番組。
 ラウラはその番組を見ながらアンドレイに言った。
 
「テレビに出ているあの娘、私と3歳しか違わないわ。それなのに、あんなことをするなんて信じられない。」
「彼女は18歳だから大人でしょう。だから、別に良いんじゃない?」
「あり得ないわよ。私は18歳になってもあんなことをしないわ。」
 
 ラウラはもう歳を取らないので、彼女の姿は永遠に15歳のままである。
 3年後に18歳と言うことは出来るかもしれないが、50年後に65歳と言うのは中々難しいかもしれない。
 今後、彼女はどのような生活をすることになるのだろうか。

 

「そういえば、ラウラは大人になったら何をしたいんだったっけ?」
「さあ、まだ決めてないわ。アンドレイは何をしたいの?」
「僕は父さんみたいに技術的な仕事をしたいと思っているけど、技術と言っても色々な分野があるから、まだ決めてない。」
「前から聞こうと思っていたけど、アンドレイのお父さんは何の技師なの?」
「なんか色々やっているよ。機械設計をしたり、水道管の更新計画を立てたり、プログラミングをしたり。」
「アンドレイも色々なことをしたいの?」
「僕は父さんと全く同じ道を歩もうと思っている訳ではないよ。もしかすると、僕は父さんとは違って、バイオ関連の仕事をするかもしれない。」

 

 アンドレイは昨日からバイオに興味を持ち始めた。
 黄昏花の力によって、死人だったラウラがこうして動けるようになったからである。
 死人を復活させる植物が存在し、その植物を用いて薬を作れる人達がいる。
 アンドレイはその技術を学びたくなった。
 それに、今後、ラウラと一緒に過ごしていくことを考えると、その技術を身に付ける方が良いと思えた。

 

「ラウラが飲んだ薬を作ってくれた人達は有能な研究者達の子孫らしいよ。魔女と呼ばれるくらいレベルが高い人達。僕もそういう人達を目指したいかも。」
「夢があって良いね。よしよし。」

 

 ラウラはそう言って、アンドレイの頭を撫でた。
 彼等は同じ歳なのに、ラウラは年上のように振舞うことが多々ある。
 しかし、アンドレイはそのことをあまり気にしていない。
 アンドレイはラウラの容姿だけが好きな訳ではなく、彼女の仕草や表情等も好きである。
 だから、年上のように振舞われても別に構わない。

 

「ラウラのために頑張るよ。」
「私のため? ああもう、可愛い。」

 

 ラウラはアンドレイを抱きしめてキスをした。
 彼等は15歳なのに、まるで30代である。

 

 彼等は夜更かしをしていたが、そこにラウラの親がやってきて、いい加減に寝なさいと言われ、しぶしぶアンドレイは居間へ行き、床に就いた。
 そして夜が明けた。