引き留めちゃって、ごめんなさいね。

ずいぶん話し込んでしまって、私はふと我に返りました。

いえ、今ちょうど19時で、これから19時の回を配るのにちょうどいい時間でした。

お兄さんの言葉は、私に気を遣わせないようにするものでした。


大丈夫?

疲れてたんだね。また体調のいいときに、来てくれたら大丈夫だから。

私がドタキャンした日、美容師の彼は、私が謝るのを遮って、私を庇ってくれました。

私が謝ったとき、彼は「大丈夫だよ」ではなく、「大丈夫?」と聞いてくれました。

彼は、自分のスケジュールよりも、私の体調を気遣ってくれました。

お兄さんも同じでした。
彼らは、自分のことよりも、相手の、私の気持ちを気遣ってくれる。

最初に、約束した男は、私のほうから別れました。
もう会わない、と私が言ったとき、あの男は、
また会えるだろ、また会おうぜ。
と言いました。
美容師の彼は、私が、もうきっとこれが最後だ、と思った日、またね、
と言いました。

さよなら、って言わないの。また、と言って別れるんです。だから、また出会ったんです。
私がお兄さんに会ったのは、初めてではないんです。