芥川龍之介の作品に

「羅生門」という小説があります


この作品は善と悪について

問いかけた

また現代でも答えの出ない作品です

この作品の元ネタは

「今昔物語集」でもあります


羅生門の時代背景ですが

時代は平安時代

政治の中心が天皇から貴族

そして武士にも移り変わっていき


仏の教法が衰退する時代といわれ

京都では地震と台風

火事と飢饉が立て続けに起こりました


京都の中心とされる

洛中の寂れ方は

一通りではありませんでした


物語の登場人物は2人です

「下人(身分の低い人)」と「老婆」です


下人は住み込みで雇われていた

屋敷をクビになり

帰る家も無く羅生門の下で

泥棒になるのか

しかしその勇気もない

もう4〜5日何も食べてません


また老婆も同様です

その日暮らしで

ヘビの肉を乾かして

「干した魚」として売るくらいでした



老婆は黒ずんだ赤い色の着物に

背の低い痩せた白髪頭の老婆です


老婆は道に倒れている女性の髪から

毛を抜きカツラにしようとします

そしてそれを売り

飢えをしのごうとします


それを見た下人は老婆を

ののしりますが

老婆はもう仕方のないことといいます


下人は老婆の行いに憎悪を感じ

反感から問いただしたのに

老婆は悪について

飢えをしのぐため

仕方ないといったのです



それを聞いた下人は

自分が泥棒になるのも仕方ないと

思いなおし

老婆の着物をはぎ取ると

それを奪い走り去っていきます


ここで下人のこころの移り変わりです


まず帰る家もない下人は

泥棒になりたいが

それを肯定する勇気がありません


そして老婆を問いただした時に

飢えて死ぬのも

仕方ないことと思う程の勇気が出て


生きるために倒れた女性の髪の毛から

カツラを作って売るのも

「これくらい許される」という老婆


そして自分も仕方ないとして

老婆の着物をはぎ取るのでした


舞台は夜の羅生門

暗闇が下人の行く先を暗示しているようです


From Itsuki