子猫がうちにやってきて二週間。
犬と違って臭くないとか、べたべたくっついてこないとか、犬のようにせつない目でこっちを見ないとか、そういうふうに思って貰い受けた子猫。
けっこうべたべたしてくる。
膝の上に乗ってくる。
拒否すると、責めるような悲しそうな目で私を見る。
じっと見る。
じーーっと見る。
私って人間性を映す鏡の目で。
子猫がうちにやってきて二週間。
犬と違って臭くないとか、べたべたくっついてこないとか、犬のようにせつない目でこっちを見ないとか、そういうふうに思って貰い受けた子猫。
けっこうべたべたしてくる。
膝の上に乗ってくる。
拒否すると、責めるような悲しそうな目で私を見る。
じっと見る。
じーーっと見る。
私って人間性を映す鏡の目で。
後から思うと、その予感はあったんだと気付く。
恐ろしい、不吉な予感。
馬鹿にいらいらしていた。
バス停への道を、疲れた気分で歩いていた。
バスの中のことは、おぼえていない。
彼を待つ時間は、少しも楽しくなかった。
正直、うんざりしていた。
電話の声を聞いて、何かを感じた。
ドアを開けた途端、他人の顔になった彼を見た。
そして、突然の別れ。
予感はあった。
でも、それを確かなものだと知っていたとして、何ができただろう。
本当にそれは予感だったのか。
裏切られることなど夢にも思っていないときほど、傷が深いのだから、予感があったのだと思いたかったのだろうか。
好きだったかどうかは分からない。
一緒にいて、楽しくはなかったけれど。
信じてはいなかったけれど、そんなことは有り得ないと、見くびっていたのは確かだ。
信じていたら、裏切られなかったのだろうか。
分からない。
平穏な空気の中にいる今、シーリアの心に触れて、あの時のことを考えてみるけれど、分からないことばかり。
解決したいと思わないのだから、知る必要もないのだけど。
予感があったのか。
あれは予感だったのか。
そのことは、知りたいような気がする。
「また庭作りかい?」
と彼が言った。
ええそうよ、と軽く頷いて、私は畑を耕す。
種をまく。
野菜を収穫する。
花に水をやる。
あきっぽいながらも、凝り性でもあるので、私の庭は盛大なものになった。
庭に夢中になっていると、他のいろんなことが忘れられる。
振り込みを忘れてしまったのは失敗だったけれど。
久しぶりに、(偶然に) 青いノートを開いた。
もう誰も読まない青いノートに刻まれた様々なことを読んだ。
私の世界と少し離れたことが書かれたものを読んで、それがすっかり今の私とは正反対のものに変わってしまっているのに気付いた。
変わったのはきっと少しずつで、それは時の流れと同じくらいの速さだろうと思う。
彼らも変わってしまっただろうか。
もう、知る術もないけれど。
一息ついて、私はまた庭に出た。
よく肥えた土に、種をまいた。