テレビでしか見たことはなかった。それゆえ派手な衣装と踊り、力強い太鼓というステレオタイプのイメージを持っていたが、赴任して数日後、それは自分の誤解であることに気付いた。

エイサーというのはどの地方から順に伝わったかなどの理由で、地域ごとに強い特色がある。赴任したのは丁度エイサーが盛んな8月だったので、東京からのこのこ現れた自分は、地元うるま市、平敷屋地区のエイサーにお呼ばれしたのである。

内容はインパクトの連続だった。まず、衣装が地味、原色が使われていない。次に踊りが地味、飛び跳ねたりしない。こちらのエイサーは歴史も長く、観光ずれしていないため、とても地味な形が保たれている。「オーソドックスな」という表現を使おうと思ったが、那覇の方々にとってはこちらがオーソドックでない…というご意見もあろうかと思うので、あえて地味、という表現にした次第である。
地域によって違うエイサー、年に一度、「全島エイサー」があるのだが、以前は順位が付けられていたらしい。平敷屋のエイサーはレベルが高く、連覇した歴史もあるとのこと。ある時期から順位はなくなったそうだが、その原因は順位が気に入らなかった踊り手が暴力に訴え暴動になったから…、という話を聞いた。ホントかな?と思い地元の区長さんに聞いてみると、「ほんとだよ、だって殴り合いにしたのは自分達だから(笑)」と屈託なく語ってくれた。



文字通り真夏の沖縄の風物詩、観光地では味わえない、伝統の「音」と「汗」を間近に体験できる。