外房鴨川は、菜の花は開花が早いが、桜は都心から一週間ほど遅いらしい。寒暖差が少ないせいだとタクシー運転手さんが言っていた。
今週半ばに再びの母の転院が決まり、地元に古くからある総合病院へ。表玄関に大きな桜樹があるのだけど、さすがに春風に乗り散りはじめていた。
それでも「きれいね」と見上げて母が言う。
「温泉に行きたいわね」
「そうだね…みんなで行きたいね」
「また来るね」
と、病室を出る。涙ぐむ妹の顔を見て、今から近くの魚見塚展望台へ行こうか、と声をかける。
トンビの群れ飛ぶこのまま吸い込まれて行きそうな、広くて青い空を二人で眺めたのだった。






