僕が見た永田町~素人しか変えられない~②
僕が見た永田町~素人しか変えられない~②
前選挙対策委員長より指示をうけた「自民党員300名を集めること」の目処が立っていたことをいいことに、未だ現選挙対策委員長と面識がなかった僕。
時は2015年4月。
リベンジを果たすべく決戦が1年数カ月後に迫っている中、今から考えると、自民党からの公認で立候補しようとしている人間にあるまじき現状だった。
よく選挙では「投票日翌日から次の戦いは始まっている」というが、その言葉に今ひとつ実感を持てたなかったのが原因であることは明白だ。
浪人中だって食っていかなければならない。食うためには働かなければならない。
この現実が、僕の暮らしの中でのプライオリティの最上位に次回の準備を差し置いて、「働く」ことを押しあげてしまっていたのだ。
莫大な資産でもあれば話は別だが、残念ながら、僕にはそんなものはない。
ちなみに、前回の選挙では、それまで蓄えていた貯金の約半分を使っていた。そして次回のチャレンジには残りの半分を使う算段だった。
言わずもがなだが、選挙にはお金がかかる。
もちろん、他の候補がいかほどのお金を使っているのかは知る良しもないが、一度とある地方議会議員の方に「伊藤さんなら、1本くらいは用意しているんでしょ?」と聞かれて、大いに驚いたことがある。曰く「参議院議員の比例区であれば1~2億円を使うのが常識」というのだ。
「伊藤さんなら・・・」の前置きには正直、違和感があった。
「だって、snsでよく、有名な方と一緒に写真を撮っているじゃないですか」と言われ、そう思う人もいるのかと少し困惑した。
落選したゆえ、胸を張っていえることではないが、僕は選挙にまつわるお金を自民党からの多少の援助と貯金で賄った。
他の人からの援助は受けていない。
かかったお金は、上述の議員がいうところの金額の一つゼロが少ない額だ。
ただ、この点については後悔がないかといえば嘘になる。
実際、「お金があれば、これもやりたいんだけど」なんて考えたことは一度や二度じゃなかった。
もちろん法を犯さないことを大前提に、清く正しくお金を集めることを追求するべきだったという反省が大いにある。
今後政治の世界に進みたいと考えている若者には、この「選挙にはお金がかかる」という現実をしっかり認識してほしい。
話を戻そう。
この時期、来年の選挙のことが頭の片隅にはあったものの、今の生活を維持するために仕事をすることが優先されていた。
したがって、党員を集めること以外に次のチャレンジにつながる政治的活動をほとんどとっていなかったのが実情だったのだ。
おそらく、こんな呑気な候補者は少ないと思う。
恥ずかしい限りだが。
僕はその場でA衆議院議員に「M選挙対策委員長との面会をとりあってもらえないか」とお願いをした。
もちろん快く引き受けてくれたのだが、実現したのはそれから半年近く経った11月のことだった。
③に続く
みなさん、よいお年をお迎えください。
来年も、多くの志ある人が、とりわけ政治ド素人の若者が永田町で働きたいと思えるような社会の実現を願う一環として、この連載、不定期で続けていこうと思っています。
よろしくお願いいたします。