今回は前回のテーマである集合と直積を少し応用させて集合の直積について説明していこうと思います。今回は少し重要なテーマで若干抽象的になります。
⑴一般的な集合の直積
AとBとを集合とします、Aの元aとBの元bとを順序づけて並べてできる組(a,b)全体の集合をAとBとの直積といい,A×Bと表します。
直積の例
Rを実数全体がなす集合とします。R×Rは2つの実数の組からなる集合です。Rを数直線とみなせばR×Rは座標平面全体と一致します。このとき,座標平面上の点とその点の座標とが対応しています。定義中の「順序づけて」というのは今回の例では(0,1)と(1,0)などx座標とy座標とがそれぞれ入れ替わっているような点でも異なる点とみなしている、ということである。
n個(nは2以上の自然数)の集合A1,...,Anに対しても同様に直積A1×…×Anが定義されます。
A×Bの定義として次のようなものが採用される場合もあります。
{f:{1,2}→C}(CはAとBとの和集合である。)
これは集合の直積を写像の集合としてとらえたものです。例えば簡単のためにR×Rで考えてみます。(4,-2)というR×Rの元は{1,2}からRへの写像でf(1)=4,f(2)=-2を満たすもの、とみなすことができるからです。(0,3)という元は{1,2}からRへの写像でf(1)=0,f(2)=3を満たすもの、とみなします。
⑵集合族
Λを集合とします。各λ∈Λに対して集合X_λが1つに定められていたとします。
集合{X_λ|λ∈Λ}をΛによって添え字づけられたXの集合族といい,(X_λ)λ∈Λとも書きます。
集合族の例
Λを{1,2}と定義すると{X_1,X_2}となります。
Λを非負整数全体がなす集合,各λ∈Λに対してX_λ={x∈R|λ≦x≦λ+1}とすれば (X_λ)λ∈Λというのは集合{[0,1],[1,2],...,[n,n+1],...}と一致します。
上の例のように集合族というのは集合の集合と考えることができます。
集合族(X_λ)λ∈Λに対して和集合∪(λ∈Λ)X_λは下のように定義されます。
∪(λ∈Λ)X_λ={a∈X_λを満たすようなλが存在するa}
つまり(X_λ)λ∈Λに対して全てのX_λを集めたような感じです。積集合∩(λ∈Λ)X_λも同様に定義されます。
⑶集合族の直積
{f:Λ→U}(U=∪(λ∈Λ)X_λ)を集合族(λ∈Λ)X_λの直積といいます。イメージ的には⑴で紹介した直積と同様です。
次回はZornの補題の主張中にもでてくる順序を紹介します。前回の練習問題の答え⬇︎
では、源義経に感謝。
