17歳の頃、
一冊の本を読んだことがきっかけで、トスカーナ地方の、ある小さな町に恋をしました。
 

 いつかきっとその町を訪れてみよう。
そう自分に約束しました。


 ちょうど今から一年前に、その町を初めて訪れ、
夕暮れ時の町の美しさや、夜に包まれる頃の静けさと、窓を開けるとどこか遠くから聞こえる音楽に耳を傾け、のんびりと過ごすことで、とても純粋に、この町に住んでみたいと思いました。




 そして、今年の7月に日本を出て
一年程の滞在予定で、この町を訪れて、


  ルームメイトにも恵まれ、
ほとんど初心者から始めたイタリア語も少しずつ上達し、ヴェネツィアや他の場所に一人で旅行に行ってもあまり問題ない程度に、

 治安も良く、のんびりとしたこの町で、
このまま一年暮らしていくんだと思っていました。







 だけど、今
わたしは、一ヶ月後にこの町を出ていくことに決めています。



 理由は色々あるけれど、小さくて綺麗なこの町は、住む上では、それだけでは済まなくて。


 嫌なところもいっぱいみて、傷つくこともあって、誰かの利益のために、自分のしたいことが制限されたり、だまされてたり、そういうこともあって。ここにいることで、自分のしたい事が邪魔されている。そう強く思いました。


 このままここに居たら、
わたしは、そうしたことをいつか絶対後悔する。



 17歳の時から、ずっと大切に思っていた町。
でもわたしは、今せっかく自分が持てた時間や、払ったお金を、そういうくだらないことに使うなんてしたくない。そう思い、町を出ることにしました。


 大好きだった町、
大切な人とたくさん会えた町



 



 こんなことを書き始めようと思ったのは、
遠い海外で、言葉も通じないところで、思ったこと、寂しいことも、つらくて仕方ないことも、どこかに書き留めておきたいと思ったから、







 いつかまた、
この町を好きになれたら、


 今はそういう気持ちでいます。