退院の日。




お母さんが迎えに来てくれた。



あとお母さんの忘れ物を届けに、お兄ちゃんも。






朝ごはんを少し食べて、シャワーを浴びるため部屋を出る。




シャワー室に行くには、分娩室・陣痛室・LDRの前を通らなければいけない。





歩き始めると、分娩室から何人か看護師さんが、終わったばかりのお産の話をしながら出てきた。





聞きたくなくても聞こえてきた、赤ちゃんとお母さんの話。






息苦しくなった…





シャワー室まで急いで歩いて、中に入ってからゆっくり深呼吸した。




苦しい…


痛い…






シャワーを浴びて部屋に戻り、荷物をまとめてお母さんを待った。




なかなか来ない…。




やっと来たのは予定していた時間から30分以上過ぎた頃だった。





お母さんはお願いしていた、二人の入った箱を包む布を買ってきてくれていた。




二人にぴったりな柄のランチョマットのような、しっかりした布。






看護師さんに二人を連れてきてもらって、初めてお母さんが二人と面会した。




可愛いね~…って。




双子を楽しみにしていたお母さん。



申し訳ない気持ちになった。






二人を綺麗に包んで、ナースステーションまで行き


「色々お世話になりました。ありがとうございました。」


って笑顔で伝えた。



私は笑顔なのに、看護師さん達はみんな神妙な顔つき。



そりゃそうだよね。



でも二人を笑顔で送ってほしかったな。






この日はお産を担当してくれた看護師さんも先生もお休みでいなかったので、先生に書いたお礼の手紙を看護師さんに預け、担当の看護師さんにも伝言をお願いした。






二人を抱きながら駐車場に行くと、すぐ後から旦那さんと一緒に赤ちゃんを抱いたお母さんが歩いてきた。




幸せそうだった。




なんで?


なんでうちの子は?





そんな気持ちになった自分がまた嫌だったけど、苦しくなった。







帰り道葬儀屋さんに寄って、ドライアイスを買ってきた。





火葬までまだ日があったので、二人が傷んでしまわないように、ドライアイスを入れた発泡スチロールに入れていた。





その足で近くの手芸屋さんにも寄って、二人に合う毛糸や布を買って帰宅。






2週間ぶりの我が家。





帰ってきちゃった…。




出ていったときとは、景色が違うな…。




私自身も変わってる。




2週間後で何もかもが変わってしまった気がした。





やっぱり辛いな…。





なるべく笑顔でいたいけど、悲しいし悔しいし…。







その頃の私は、気付くとボーッとなっていた。