お腹の双子の心臓が止まってしまって、その日のうちに処置の説明を受けた。





部屋に戻って、また処置について携帯で検索しまくった。




ほとんどの体験者の方が

「痛かった!」

「気絶しそうな位、激痛だった」

と書いていたので、私も怖くて怖くて仕方がなかった。




こんな辛い思いをしているのに、なぜまだ痛い思いまでしなきゃいけないの?




それが正直な気持ちだった。






そんな中にもいくつか

「言われてるほど痛くなかった」

「少し鈍い痛みがしたくらい」

と言う方もいた。




私はその「痛くなかった」に賭けてみようと思った。




痛くなかった…と書いている方達は、多くが経産婦さんだった。



経産婦だと初産の方に比べて、子宮口が柔らかく開きやすいらしい。




【私は経産婦だから大丈夫!】

【出来るだけ力を抜いて、リラックスしよう】



と自分に言い聞かせた。






その後夕方から担当になった看護師さんが来てくれた。


「大丈夫ですか?」


【大丈夫】



と言おうとしたが、涙が出てきて


「大丈夫じゃないです…」


と泣いた。



看護師さんは涙が落ち着くまで、背中をさすってくれた。




落ち着いてから処置の話になり、私はまた

「痛いのは嫌だ…もう頑張れない…。麻酔でもなんでも使って、痛くないようにしてください!」

と、まだ訴えていた。



それから胎盤の話もした。


なぜかと言うと、二人目を出産したとき、胎盤が癒着していてなかなか剥がれなく、先生が手を突っ込んで剥がしたんだけど、それが出産以上に激痛で騒ぎまくって…。

やっと胎盤が出て会陰切開した部分を縫合し終わったと思ったら、急に吐き気と陣痛と同じ腰の痛みに襲われて、まさかの大出血。


手術室に移され、腰椎麻酔を打たれた頃には、出血多量で意識が吹っ飛んで…。




原因は


【子宮内反症】



聞いたこともないものだったが、調べてみると1/10000の確率で起きるものらしく、子宮が裏返しになって、外に出てきてしまうものらしい。





その時の用手剥離の痛みが忘れられず、怖くて仕方がないことを伝え、もし胎盤が出なかったら麻酔をかけてくれ…と看護師さんにお願いしました。




看護師さんは

「分かりました。先生に伝えますね」

と言ってくれた。




なぜか看護師さんには色々話せるけど、先生を目の前にすると、頭が真っ白になって一言も言葉がでない。





その後入院初日に来てくれた姉が、仕事終わりにわざわざ会いに来てくれた。



私は姉を見てまた笑顔を作って手を振ったが、姉はそんな私を抱きしめてくれた。




双子の母でもある姉。


こんな風に双子を育てたかった…。




処置についてやこれからの話をしていたら、夕飯が運ばれてきた。



こんな日なのに、ちょっと豪華に見えるビーフシチュー。



今までなら双子のため!と全て完食していたが、さすがに食欲が湧かず、とりあえずビーフシチューだけ少し食べた。




【もう赤ちゃん達は生きていないのに、頑張って食べる必要も理由もない…】




それが私のその時の心境だった。






そして主人も夕食の最中に来てくれた。



二人ともダメだったこと、主人にも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。





主人には先生から連絡がいっていたので、私からは特に話さなかった。

ただ明日から始まる処置が痛いものらしい、嫌だ…と言うことだけ伝えた。



どんだけ周りに駄々をこねてたんだか。





そして二人が帰ったあと、ベットに横になりながら、お腹を静かに…そっと触って、双子君達に沢山話しかけた。




【窮屈なお腹の中で、よく頑張ったね。
元気な姿で生んであげられなくて、ごめんね…】